ランカシャー県(読み)ランカシャー(その他表記)Lancashire

翻訳|Lancashire

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ランカシャー県」の意味・わかりやすい解説

ランカシャー〔県〕
ランカシャー
Lancashire

イギリスイングランド西部の県。県都プレストン。1974年の自治体再編により,北西部がカンブリア県へ,南部がグレーターマンチェスターマージーサイドの両地域とチェシャー県に分離され,ヨークシャー県の一部が編入された。1998年にブラックバーンウィズダーウェンブラックプールが単一自治体(ユニタリー unitary authority)となって分離した。アイリッシュ海に面する西部は漂礫土に覆われた低地で,かつては泥炭地が広がっていたが,大部分が干拓された。東部はペナイン山脈から張り出す高原地帯で,南の夾炭層(きょうたんそう。→炭層)に覆われたロッセンデール高原と北の風光明媚なボーランド高原からなる。中央部をリブル川が南西流し,プレストンの下流で三角江(エスチュアリー)をなしてアイリッシュ海に注ぐ。中世にはスコットランドとの国境紛争,疫病の流行,バラ戦争などにより荒廃したが,織物工業が盛んになるにつれて発展。16~17世紀にはリンネル毛織物が重要であったが,18世紀末までには綿織物が中心となった。また蒸気機関の導入後,大規模な炭田開発も始まり,人口が急増し,工業地帯として急速に発展した。しかし 20世紀後半に入ってこの地方の二大産業である織物工業と採炭業が斜陽化したため,1970年代初め深刻な不況に見舞われ,その後軽工業などを導入して経済多角化がはかられた。西部の農業地帯は比較的安定し,酪農畜産,市場園芸などが盛ん。アイリッシュ海沿岸には海浜保養地が立地する。面積 2903km2。人口 115万6100(2005推計)。

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