ミヤオヤオ諸語(読み)ミヤオヤオしょご(その他表記)Miao-Yao

改訂新版 世界大百科事典 「ミヤオヤオ諸語」の意味・わかりやすい解説

ミヤオ・ヤオ諸語 (ミヤオヤオしょご)
Miao-Yao

中国西南部やインドシナ半島北部に散在するミヤオ(苗)族ヤオ(瑶)族の言語の総称ミヤオ語Miaoとヤオ語Yaoの言語的関係はまだ不明の点があり,そのうえ両語をまとめるにしてもそれがどの言語系統に属するかも確かでない。普通シナ・チベット語族に入れるが,モン・クメール語族説も無視できない。音韻的特徴はミヤオ語が語頭子音が複雑であるのに対し,ヤオ語は簡単であり,逆に語末子音はミヤオ語にはŋ(まれにn)しかない。両語とも単音節語で声調は8種ずつある。文法はまったく同じで,〈主語+述語+目的語〉および〈名詞修飾語〉(ただし所有代名詞は名詞の前)の語順をとる。類別詞用法では,〈数詞+類別詞+名詞〉の順は両語同じだが,指示詞が加わるとミヤオ語では〈数詞+類別詞+名詞+指示詞〉,ヤオ語では〈指示詞+数詞+類別詞+名詞〉の順となる。語彙は居住地によって,中国語かタイ語からの借用語が多くみられ,ほかにモン・クメール語系の要素も点在する。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ミヤオヤオ諸語」の意味・わかりやすい解説

ミヤオ=ヤオ諸語
ミヤオ=ヤオしょご
Miao-Yao languages

苗瑤 (びょうよう) 諸語ともいう。北部ラオスから中国の雲南湖南,広西,貴州,広東にかけての山岳高地地域に住む少数民族の言語。ミヤオ語はメオ語ともいい,話し手は約 800万人。ヤオ語はミエン語,マン語ともいい,約 200万人。それぞれ,イ・ラオ語,ショ語など,いくつかの近い方言をもつ。ラカ語もこれらに含める人もあるが,異説もある。ミヤオ=ヤオ諸語の系統はシナ=チベット語族に属するとの説もあるが,モン=クメール語族に含める説などもあり,まだ確定していない。

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