ムスリム(英語表記)muslim

精選版 日本国語大辞典 「ムスリム」の意味・読み・例文・類語

ムスリム

〘名〙 (muslim) イスラム教徒アラーの教えに帰依する者を意味する。モスレム

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デジタル大辞泉 「ムスリム」の意味・読み・例文・類語

ムスリム(〈アラビア〉muslim)

《神に帰依・服従した者の意》イスラム教徒のこと。ムスラマ。モスレム。→イスラム教

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改訂新版 世界大百科事典 「ムスリム」の意味・わかりやすい解説

ムスリム
muslim

イスラム教徒を意味するアラビア語。女性形ムスリマmuslima,複数形ムスリムーンmuslimūn。本来アラビア語語根s-l-mの第4型動詞aslamaの能動分詞で,〈(神に)絶対的に服従する者〉を意味する。コーランでは,ムハンマドの説いた一神教信者を指す言葉として,このムスリムと,語根'-m-nの第4型動詞a'manaの能動分詞ムーミンmu'minとが併用され,はるかに後者の頻度が高い。しかし,宗教を呼ぶ名としてのイスラムの確定とともに,イスラム教徒を意味するムスリムという用語も確定した。ヨーロッパには,古く-ānという語尾を伴ったペルシア語形musulmānとして伝えられたが,現在ではフランス語を除きmuslim(moslem等のなまりを含む)が支配的となった。中国の木速児蛮はペルシア語形,穆思林はアラビア語形の音訳である。普通名詞のほか,ムスリムはイスラム教徒の個人名(イスム)としても多く用いられる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ムスリム」の意味・わかりやすい解説

ムスリム
Muslim

イスラム教徒を意味するアラビア語。複数は muslimūn。本来は「 (神への) 帰依者」の意味。イスラム法の規定によれば,ムスリムは次の5行を義務づけられている。それは,(1) 信仰告白 (シャハーダ) ,(2) 1日5回の礼拝 (サラート) ,(3) イスラム暦第9月 (ラマダーン) の断食 (サウム) ,(4) 喜捨 (ザカート) ,(5) 可能な場合には一生に1度のメッカ巡礼 (ハッジ) である。ムスリムの数は7世紀のアラブの大征服時代から徐々にふえはじめ,9~10世紀には中央アジア,エジプト,北アフリカ地域のイスラム化が進行した。現在のムスリムの分布は,中国西部から東南アジア,インド,中央アジア,西アジア,アフリカにまで及び,その数は7億といわれる。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ムスリム」の解説

ムスリム
muslim

「イスラーム教徒」を意味するアラビア語。原義は「(アッラーに)帰依(きえ)する者」。英語,フランス語,ドイツ語などのモスレム(Moslem)はその訛り。

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旺文社世界史事典 三訂版 「ムスリム」の解説

ムスリム
muslim

イスラーム信徒を意味するアラビア語
“神に身を捧げた者”を意味し,ムスリムには信仰,告白,毎日5回の礼拝,喜捨,年1回の断食および一生に一度の聖地巡礼が戒律とされている。

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世界大百科事典(旧版)内のムスリムの言及

【アンダルス】より

…初めイスラム教徒(ムスリム)によるイベリア半島の呼称であったが,しだいに同半島における彼らの支配領域を指す用語となった。語源は〈バンダル人の国〉のラテン語名Vandaliciaにあり,そのアラビア語なまりがアンダルスである。…

【インド】より

…四姓制度と結合したカースト制度や学生期をはじめとする四生活期(アーシュラマ)の制度はヒンドゥー社会を特色づけている。 イスラム教徒(ムスリム)のインド侵入は8世紀ころにまでさかのぼることができるが,初めはヒンドゥー教のインドになんらかの痕跡を残すようなものではなかった。しかし11世紀以後に北インドに侵入したイスラム教徒は略奪,放火,破壊をほしいままにし,1206年インドに初めてイスラム王朝(奴隷王朝,1206‐90)が成立し,1857年ムガル帝国が滅亡にいたるまでの約650年間,インドはムスリム政権の支配下に置かれた。…

【回族】より

…人口は約860万(1990)。歴史上は回回,回民と呼ばれるが,自らは穆斯林(ムスリム)と称する。回族とは新しい呼称である。…

※「ムスリム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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