メタクリル酸メチル(読み)めたくりるさんめちる

日本大百科全書(ニッポニカ) 「メタクリル酸メチル」の意味・わかりやすい解説

メタクリル酸メチル
めたくりるさんめちる
methyl methacrylate

不飽和脂肪酸エステルの一つ。工業的には、アセトンシアノヒドリン法(の(1))によりアセトンとシアン化水素から製造されていた。現在では、モリブデン系触媒を用いてイソブチレンを空気中の酸素により酸化する方法(の(2))が主流になっている。

 特有のにおいをもつ無色液体。水にかなり溶けるほか、エタノールエチルアルコール)、エーテルなどの有機溶媒と任意の割合で混じり合う。

 メタクリル酸メチルの重合により得られるメタクリル樹脂は透明性に優れ加工しやすいので、有機ガラスなどに広く使われている。ほかのビニル化合物との共重合体の原料としても重要である。重合しやすいので、保存の際には0.01%程度のヒドロキノンを添加し褐色瓶に入れておく。

[廣田 穰]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「メタクリル酸メチル」の解説

メタクリル酸メチル
メタクリルサンメチル
methyl methacrylate

2-methyl-2-propenoic acid methyl ester.C5H8O2(100.11).CH2=C(CH3)COOCH3.略称MMA.製造法としては,
(1)アセトンと青酸を出発原料にしたアセトンシアノヒドリン法,
(2)イソブテンを出発原料にしたエスカンビア法,
(3)メタクリルアルデヒド法,
(4)メタクリル酸法(直接法),
(5)メタクリロニトリル法,
(6)メチルアセチレンカルボニル化によるメチルアセチレン法,
(7)プロペンのオキソ化の際に得られるイソブチルアルデヒドを出発原料にしたイソ酪酸法,
などがある.特臭のある無色の液体.融点-48.2 ℃,沸点100.3 ℃.0.936.通常の有機溶剤に可溶で,光,熱,放射線などにより単独または共重合する.単独重合体のガラス転移点 Tg82~102 ℃.重合体は主として有機ガラスの製造に利用される.[CAS 80-62-6]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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