日本大百科全書(ニッポニカ) 「メタクリル酸メチル」の意味・わかりやすい解説
メタクリル酸メチル
めたくりるさんめちる
methyl methacrylate
不飽和脂肪酸エステルの一つ。工業的には、アセトンシアノヒドリン法( の(1))によりアセトンとシアン化水素から製造されていた。現在では、モリブデン系触媒を用いてイソブチレンを空気中の酸素により酸化する方法( の(2))が主流になっている。
特有のにおいをもつ無色の液体。水にかなり溶けるほか、エタノール(エチルアルコール)、エーテルなどの有機溶媒と任意の割合で混じり合う。
メタクリル酸メチルの重合により得られるメタクリル樹脂は透明性に優れ加工しやすいので、有機ガラスなどに広く使われている。ほかのビニル化合物との共重合体の原料としても重要である。重合しやすいので、保存の際には0.01%程度のヒドロキノンを添加し褐色瓶に入れておく。
[廣田 穰]