ヤシャルケマル(英語表記)Yaşar Kemal

改訂新版 世界大百科事典 「ヤシャルケマル」の意味・わかりやすい解説

ヤシャル・ケマル
Yaşar Kemal
生没年:1923-

現代トルコ文学を代表する作家。アナトリア南東部アダナ地方の農村に生まれ,種々の職業遍歴したのちイスタンブールに出て文筆活動を始め,自由契約の記者として優れたルポルタージュを発表した。1955年《やせっぽちのメメット》をもって文壇に登場し,社会派作家のリーダーとして,政治活動にも参加した。その作風社会主義リアリズムとトルコ民衆文学の伝統を結合させ,平易な文体が特徴的である。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤシャルケマル」の意味・わかりやすい解説

ヤシャル・ケマル
やしゃるけまる
Yaşar Kemal
(1922―2015)

トルコの代表的作家の一人。南東アナトリア、アダナ県(小アジア)の農村に生まれる。4歳で父を失った。中学校を中退後、数多くの職業を遍歴。のちイスタンブールに出てルポルタージュ、シナリオ戯曲などの作者として活躍した。1955年『やせっぽちのメメット』を発表して社会派の作家として名声を確立したが、この小説は過酷な農村社会の現実を民衆文学の手法で生き生きと表現し、ノーベル文学賞候補にもあげられた。

[永田雄三 2018年4月18日]

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20世紀西洋人名事典 「ヤシャルケマル」の解説

ヤシャル・ケマル
Yasar Kemal


1922 -
トルコの作家。
アダナ県生まれ。
中学を中退後、種々の職業を経てイスタンブールに出てルポルタージュ、シナリオ、戯曲を書き活躍。1955年「やせっぽちのメメット」をもって文壇に登場し、社会派の作家として名声を確立した。平易な文体で社会主義リアリズムとトルコ民衆文学の伝統を結合させた作風が特徴。

出典 日外アソシエーツ「20世紀西洋人名事典」(1995年刊)20世紀西洋人名事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のヤシャルケマルの言及

【トルコ文学】より


[トルコ共和国時代(1923以降)]
 ケマル・アタチュルクによるラテン文字採用(1928)と言語改革は,トルコ文学の進路に決定的な方向を与え,多くの詩人・作家が真の国民文学をめざして活動している。詩人では自由詩を開拓したナズム・ヒクメトとオルハン・ベリ・カヌク(1914‐50),独創的な詩風に近代の不安をただよわすファジル・ダアラルジャ(1912‐ )が傑出しており,作家には短編小説の名手サイト・ファイク・アバシヤヌク(1907‐54),ナスレッディン・ホジャを思わせる風刺作家アジズ・ネシン(1915‐95),農民文学の開拓者オルハン・ケマル(1914‐70),同じく農村を舞台に民衆叙事詩の伝統を生かした《インジェ・メメット》その他の作品で,現代トルコ文学を代表するヤシャル・ケマルYaşar Kemal(1922‐ )がいる。現代トルコ文学に共通する特徴は,現実の政治・社会に対する強い関心と,作品を介しての思想表明であり,芸術至上的な傾向は目だたない。…

【トルコ文学】より


[トルコ共和国時代(1923以降)]
 ケマル・アタチュルクによるラテン文字採用(1928)と言語改革は,トルコ文学の進路に決定的な方向を与え,多くの詩人・作家が真の国民文学をめざして活動している。詩人では自由詩を開拓したナズム・ヒクメトとオルハン・ベリ・カヌク(1914‐50),独創的な詩風に近代の不安をただよわすファジル・ダアラルジャ(1912‐ )が傑出しており,作家には短編小説の名手サイト・ファイク・アバシヤヌク(1907‐54),ナスレッディン・ホジャを思わせる風刺作家アジズ・ネシン(1915‐95),農民文学の開拓者オルハン・ケマル(1914‐70),同じく農村を舞台に民衆叙事詩の伝統を生かした《インジェ・メメット》その他の作品で,現代トルコ文学を代表するヤシャル・ケマルYaşar Kemal(1922‐ )がいる。現代トルコ文学に共通する特徴は,現実の政治・社会に対する強い関心と,作品を介しての思想表明であり,芸術至上的な傾向は目だたない。…

※「ヤシャルケマル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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