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ヤドカリ

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百科事典マイペディアの解説

ヤドカリ

十脚目異尾類のうち,ヤドカリ上科とホンヤドカリ上科の甲殻類の総称。普通,巻貝の空殻に入って生活し,成長に伴い大きな貝殻に引っ越す。このため腹部の外骨格が退化して柔軟になり,付属肢も多くは退化の途上にあって貝殻の巻きに応じて左右不相称となっている。
→関連項目カニ(蟹)

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ヤドカリ
やどかり / 宿借
hermit crabs

節足動物門甲殻綱十脚(じっきゃく)目に属するヤドカリ科、ホンヤドカリ科、オカヤドカリ科、ツノガイヤドカリ科、オキヤドカリ科の動物の総称。形態的にはエビとカニの中間に位置し、十脚目を長尾類(エビ)、異尾類(ヤドカリ)、短尾類(カニ)の亜目に分けるのはこのためである。また、十脚目を遊泳、歩行の二亜目に分けるとすれば、ヤドカリは歩行亜目に含まれる。一般に頭胸甲はよく石灰化しているが、腹部は大きくて軟らかい。腹部を巻き貝に入れて保護しており、貝のねじれに応じて右に巻き、右側の腹肢は退化している。しかし、ツノガイや軽石などを利用するツノガイヤドカリ科では二次的に左右相称となり、また例外的にはホンヤドカリ科のカイガラカツギ類Porcellanopagurusなどは二枚貝の半片を背負う習性があり、腹部は短小で、曲がっていない。オカヤドカリ科のヤシガニBirgus latroでも、同様に腹部は見かけ上左右相称で、幼個体は巻き貝に入るが、大形の成体は巻き貝を利用することはなく、腹部の背面は石灰化している。一対のはさみ脚(あし)をもつことはすべてのヤドカリに共通であるが、一般に北方系のホンヤドカリ科と深海系のオキヤドカリ科では右大、南方系のヤドカリ科とオカヤドカリ科では左大である。二対の歩脚は長大であるが、続く二対の脚は短く、先端がやすり状の粗面となっており、これを貝殻の内面に押し付けて、同様のやすり状構造をもつ尾肢とともに腹部の保持に役だつ。腹肢の数は3本か4本で、これらに卵がつけられる。卵はゾエアとよばれる幼生で孵化(ふか)し、約1か月間の浮遊生活ののちにグラウコトエとよばれる幼生を経て小さなヤドカリになり、底生生活に移る。
 世界に約700種が知られているが、日本産は約100種である。外洋性海岸にもっとも普通にみられるのがホンヤドカリPagurus geminusで、反対に内湾性の干潟の代表種がユビナガホンヤドカリP. dubiusである。磯(いそ)には巻き貝が多く、ヤドカリは成長とともに大きな貝にかえるが、浅海泥底にすむイガグリホンヤドカリP. constansのようにカイウミヒドラの群体に包まれて宿替えをしないものもある。また、浅海の岩場にすむソメンヤドカリDardanus pedunculatusなどのように、貝殻の表面にイソギンチャクをつけて防御している例も多い。イソギンチャクも積極的に貝につくことから、真の共生と考えられる。[武田正倫]

民俗

琉球(りゅうきゅう)諸島では、ヤドカリは人間の起源の神話の主役になっている。この地方では、明治初期まで女性の手にいれずみをする風習があり、一般に左手のくるぶしのところに入れる星形のいれずみをアマン(ヤドカリ)とよんだが、沖永良部(おきのえらぶ)島では、先祖がヤドカリから生まれ、自分たちはその子孫なので、ヤドカリのいれずみをすると伝える。石垣島では、昔の世をアマンユーというのは「ヤドカリの世」という意味であるといい、ヤドカリがアダンの実を食べたために変生したのが人間であると伝えている。[小島瓔

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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