改訂新版 世界大百科事典 「ラブルースト」の意味・わかりやすい解説
ラブルースト
Henri Labrouste
生没年:1801-75
19世紀中期のフランスを代表する建築家。パリ生れ。初期のエコール・デ・ボザール(国立美術学校)で教育を受け,1824年ローマ大賞を受賞してローマに留学。周囲の新古典主義的作風に反対して,南イタリアに点在する古代ギリシアの遺跡に強く引かれ,〈ネオ・グレコ〉と呼ばれる新しい潮流をつくり出した。若い頃は長老たちの占める美術アカデミーとそりが合わず,仕事も少なかったが,後にパリのサント・ジュヌビエーブ図書館Bibliothèque Sainte-Geneviève(1850)やビブリオテーク・ナシヨナル(1875)を設計する。ともに外部を簡素な構成とする反面,内部には鋳鉄や鉄骨を大胆に用い,明敏で軽快な空間をつくり上げた。彼の作風および理論は19世紀後半に連なる合理主義建築に大きな影響を与えた。
執筆者:三宅 理一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報