改訂新版 世界大百科事典 「ラベンダー油」の意味・わかりやすい解説
ラベンダー油 (ラベンダーゆ)
lavender oil
地中海沿岸地方原産のシソ科の半木本性植物のラベンダーの花,枝および葉から,水蒸気蒸留または溶剤抽出により採取される精油。上品な芳香のため古くから香料として重用されている。主成分は酢酸リナリルlinalyl acetateで,通常30~40%含有されている。そのほかリモネン,リナロール,ゲラニオール,およびそのエステル類,ネロール,シネオール,d-ボルネオールなどが含まれている。化粧品,セッケン用香料をはじめ高級香水用として広く用いられる。また薬用として神経痛,リウマチなどに用いたこともある。なお,地中海沿岸地方でlavender cottonと呼ばれる小低木があり,その花からも精油を得ているが,これは主成分はサントリナ油santolina oilとして知られるもので,ここで述べたラベンダー油とは異なる。
執筆者:内田 安三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報