ドイツの生化学者。ミュンヘン大学でH・ウィーラントに師事、1953年同大学教授。1954年からマックス・プランク細胞化学研究所所長。活性酢酸が酢酸と補酵素A(coenzyme A)とのチオエステルCH3-COSCoAであることを発見し、アセチル補酵素Aが関与する多くの代謝経路と酵素を明らかにした。すなわち、リネンのサイクルとよばれる脂肪酸のβ(ベータ)酸化の機構を解明し、脂肪酸の長い鎖の合成を触媒する多酵素複合体を酵母より分離した。また脂質の代謝にビオチンが果たす役割を明らかにし、コレステロールや脂質の生合成研究も行った。K・ブロッホとは独立に研究したが、彼らの仕事は互いに補い合いコレステロールと脂肪酸研究に貢献した。1964年、ブロッホとともにノーベル医学生理学賞を受賞した。
[石館三枝子]
アマ(亜麻)繊維を原料とする製品の総称。シャツ地、ハンカチーフ、テーブルクロスなど。アマ織物は人類史上もっとも古く、古代エジプトではミイラを巻いた布であり、聖書のなかにも記されている繊維であって、18世紀ころには、全繊維のうちで世界第1位の生産高を示していた。原産地は中近東と考えられているが、現在は旧ソ連地域、ポーランド、ベルギーが主産地である。繊維の強さが大きいこと、水分の吸収発散が早いこと、熱伝導度が高いことなどから、涼感があり、夏用服地に使われる。日本では明治以後、北海道でアマの栽培が始められ、1887年(明治20)札幌に北海道製麻株式会社を設立されて以来普及をみた。リネンは敷布、画布、服地、芯地(しんじ)などに用いられる。
[並木 覚]
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…ワタに比べて不純物が多く,ペクチン,ヘミセルロース,蠟質,色素などを多量に含有しているので,原料採取後,紡績工程に入るまでに前処理が必要である。(1)リネン アマ繊維(フラックス)で作った糸,またこの糸で織った織物。リンネルとも呼ばれる。…
…おもなものに亜麻(フラックス。織ったものをリネンと呼ぶ),苧麻(ちよま)(ラミー,カラムシともいう),大麻(ヘンプ),黄麻(ジュート,つなそともいう),マニラ麻,サイザル麻などがある。麻類はそれぞれ相違はあるが,多くは繊維細胞が集まって繊維束を形づくっており,繊維束の繊維素以外に表皮や,木質部,ゴム質,ペクチン質などを含有しているので,より細かく分繊して糸にし織物にするのが良く,ロープ,紐類などは繊維束をそのまま撚り合わせて使用する。…
…茎からは繊維を,種子からは油を採る作物(イラスト)。その繊維で肌ざわりがよく薄手の織物リネンを織る。 アマ科の一年草で,カフカス地方から中東にかけての一帯が原産地とされる。…
※「リネン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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