リン灰石(読み)りんかいせき(その他表記)apatite

翻訳|apatite

改訂新版 世界大百科事典 「リン灰石」の意味・わかりやすい解説

リン(燐)灰石 (りんかいせき)
apatite

リン酸塩鉱物の代表的なものの一つ。化学成分はCa5(PO43(F,Cl,OH)。Caの一部がPbに,Pの一部がSi,Asに置換されることがある。またF,Cl,OHを主とする場合は,それぞれフッ素リン灰石,塩素リン灰石,水酸化リン灰石と呼び,さらに,PO4の一部をCO3OHで置換する種を炭酸リン灰石と呼ぶ。六方晶系に属し,六角柱状板状結晶を示すが,粒状,塊状集合体となる場合も多い。比重3.1~3.2,モース硬度5。無色白色,淡灰色,淡黄色,淡緑色。副成分鉱物としてほとんどすべての火成岩産出するほか堆積岩,変成岩中にも存在する。リン鉱床としての正マグマ鉱床ペグマタイト鉱床,熱水交代鉱床,鉱脈型鉱床,さらに変成鉱床などのリン鉱石の主成分鉱物として産出し,重要なリン酸資源である。またリン灰石は人類も含め動物の骨格,歯の構成物としても重要であり,最近は人造骨材物質としての人工リン灰石の研究も進んでいる。
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化学辞典 第2版 「リン灰石」の解説

りん灰石
リンカイセキ
apatite

Ca5(PO4)3(OH,F,Cl).アパタイトともいう.フッ素りん灰石Ca5(PO4)3F,塩素りん灰石Ca5(PO4)3Cl,水酸りん灰石Ca5(PO4)3OHで代表されるほぼ連続的な組成をもった鉱物.火成岩の副成分鉱物として広く分布.リンの主要鉱物で,ロシア,南アフリカなどに大鉱床がある.六角の柱状および板状の結晶,粒状,微晶質集合体として産出する.六方晶系,空間群 P 63/m,格子定数 a0 = 0.93~0.96,c0 = 0.68 nm.単位胞中に二つの基本組成を含む.へき開は底面に完全.硬度5.密度2.9~3.2 g cm-3.白,灰,淡緑,淡青,黄色など.動物の歯や骨の無機成分にりん灰石と似た組成が認められる.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リン灰石」の意味・わかりやすい解説

リン灰石
りんかいせき
apatite

火成岩に含まれるリン酸塩鉱物。 Ca5(PO4)3(OH,F,Cl) 。化学組成に対応して,フッ素リン灰石 Ca5(PO4)3F ,塩素リン灰石 Ca5(PO4)3Cl ,水酸リン灰石 Ca5(PO4)3OH などと呼ばれる。これらの間にはほぼ連続的に固溶体が形成される。六方晶系。板状,柱状結晶または粒状,隠微晶質集合塊として産する。ガラス光沢ないし樹脂光沢,白,灰,黄,青,緑,紫,紅色など。硬度5,比重 3.1~3.2。ときにケイ光,リン光を発する。火成岩,変成岩の副成分鉱物として産するほか,ペグマタイトや熱水鉱床中,堆積岩中などにも広く産する。リンの主要原料鉱物。

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百科事典マイペディア 「リン灰石」の意味・わかりやすい解説

リン(燐)灰石【りんかいせき】

リンの鉱石鉱物。アパタイトとも。組成はCa5(PO43(OH,F,Cl)。OH,F,Clは連続的に置換。六方晶系。柱状,板状結晶または粒状。硬度5,比重3.1〜3.2。樹脂状光沢があり,色は緑,白,黄,青,褐色など。各種岩石に副成分鉱物として産出。また生体鉱物としてしばしば形成される。

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