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ルサンチマン ressentiment

翻訳|ressentiment

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ルサンチマン
ressentiment

怨恨,復讐を意味する語。特にニーチェは,強者の君主道徳と対比して,弱者の奴隷道徳は強者に対するルサンチマンによるものだとした。彼によれば,元来道徳の根底には生命の根源からくる力強さがあるが,弱者は強者に対する反感をもち続け,一般の既成道徳を生じさせるとした。またキリスト教的世界観と,その派生としての近代市民社会における社会主義運動との両者にこの心理を指摘する。これに対し M.シェーラーはキリスト教についてはニーチェの考えを否定したが,革命を志向する社会主義運動はルサンチマンに根をもつと説いた。

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知恵蔵の解説

ルサンチマン

ニーチェのキリスト教批判における中心概念で、「恨み」や「妬み」を意味する。『道徳の系譜』(1887年)において、ニーチェは、キリスト教の起源をユダヤ人のローマ人に対するルサンチマンに求め、キリスト教の本質はルサンチマンから生まれたゆがんだ価値評価にあるとした。被支配階級であるユダヤ人は、支配階級であるローマ人の力強さ、能動的に生を楽しむこと、自己肯定的であることに対して恨みや妬みを抱き、このルサンチマンから、強い者は「悪い」、強くない私は「善い」、という屈折した価値評価を作り出した。この価値の転換はさらに屈折の度合いを深め、「貧しき者こそ幸いなり」ということばに代表されるような、弱いこと、欲望を否定すること、現実の生を楽しまないことこそ「善い」とする価値評価が生まれ、最終的にキリスト教の原罪の考え方、禁欲主義、現世否定主義につながっていった、とニーチェは考えた。

(石川伸晃 京都精華大学講師 / 2007年)

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デジタル大辞泉の解説

ルサンチマン(〈フランス〉ressentiment)

強者に対する弱者の憎悪や復讐(ふくしゅう)衝動などの感情が内攻的に屈折している状態。ニーチェシェーラーによって用いられた語。怨恨(えんこん)。遺恨。→奴隷道徳

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大辞林 第三版の解説

ルサンチマン【ressentiment】

〘哲〙 ニーチェの用語。被支配者あるいは弱者が、支配者や強者に対してため込んでいる憎悪やねたみ。この心理のうえに成り立つのが愛とか同情といった奴隷道徳であるという。怨恨。 → 奴隷道徳

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