改訂新版 世界大百科事典 「レグホーン種」の意味・わかりやすい解説
レグホーン[種]
Leghorn
イタリア原産の代表的卵用種のニワトリ。主としてイギリスとアメリカで改良が進められた。羽毛や冠型で多くの内種に分かれるが,単冠白色レグホーン種が有名である。体型は軽快で典型的な卵用型を呈し,羽色は白色,耳朶(じだ)も白色で脛(すね)とくちばしは黄色である。標準体重は雄2.7kg,雌2.0kg。産卵能力が優れ,標準卵重56gの白色卵を年に250~300個産み,年365卵の記録もつくられている。性質は敏しょう,快活であるが,やや神経質で騒がしい。成熟は早く,孵化(ふか)後150~160日で初産する。就巣性は完全に欠けている。産卵に重点を置いて改良されているので肥満性に乏しく,肉質も劣っている。最近では採卵鶏として飼育する個体に雑種強勢(ヘテローシス)を利用することが盛んに行われており,この場合はほとんど白色レグホーン種の系統間の四元交配種が作出されているが,中には本種と他の兼用種の交雑種を基礎とした系統の間の交配種もある。いずれも系統を育成した会社名で呼ばれており,ハイラインHy Lyne,デカルブDe Kalb,ハイスドルフ・ネルソンHeisdorf & Nelson,シェーバーShaber,キンバーKimberなどが有名である。日本には1887年以来たびたび輸入され,卵用鶏種の主力となっている。このほか褐色レグホーン種Brown Leghornもイギリス,アメリカなどで飼育されている。単冠もしくはばら冠で羽色は暗褐色か淡褐色。速羽性で脛とくちばしは黄色。卵殻は若干色づくものがある。産卵能力は白色種に比べ1割ぐらい劣る。
→ニワトリ
執筆者:正田 陽一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報