ロベリン

化学辞典 第2版 「ロベリン」の解説

ロベリン
ロベリン
lobeline

C22H27NO2(337.47).2(R)-[6(S)-(2-hydroxy-2-phenyl)-1-methyl-2-piperidinyl]-1-phenylethanone.インフラチンともいう.ロベリアアルカロイドの一つ.キキョウ科Lobelia inflataの主アルカロイド融点130~131 ℃.-43°(エタノール).水にほとんど不溶,クロロホルムエーテル可溶.塩酸塩は融点178~180 ℃.-43°(水).2,6-ジスチリルピリジを出発物質として合成されるDL-ロベリンは融点110 ℃.呼吸興奮剤で呼吸障害(ショック新生児仮死,手術時など)に用いられる.タバコが嫌いになる薬としても用いられる.LD50 7.8 mg/kg(マウス静注).[CAS 134-63-4:塩酸塩]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロベリン」の意味・わかりやすい解説

ロベリン
lobeline

化学式 C22H27NO2 。北アメリカ原産のキキョウ科の一年草ロベリアソウ Loberia inflataの葉,種子に含まれるアルカロイド。化学的にはピペリジン誘導体である。無色針状晶,融点 130~131℃。水に難溶,クロロホルム,ベンゼン,エーテルに可溶。神経節,神経筋接合部に対してニコチン様作用をもっている。作用の特徴は,ニコチンよりも頸動脈球の化学受容器に対する興奮作用が強く,反射的に呼吸中枢を興奮させることである。過量の麻酔薬による呼吸抑制,新生児の仮死,一酸化炭素やモルヒネ急性中毒などに対して呼吸興奮剤として用いられる。この場合,呼吸中枢の興奮性が保持されていないと効果を期待しにくい。大量投与では,心臓の刺激伝導系の障害を起して死亡することもある。

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世界大百科事典(旧版)内のロベリンの言及

【サワギキョウ(沢桔梗)】より

…日本全域のほか,東アジアに広く分布している。有毒物質ロベリンlobelineを含むが,若芽をゆでて煮こぼし,さらしてから食用にすることもある。同属のミゾカクシL.chinensis Lour.(一名アゼムシロ)は,田のあぜや溝のそばなどの湿った所に生育する匍匐(ほふく)性の多年草で,花は葉腋(ようえき)に1個ずつつき,白色。…

【自律神経薬】より

…天然アルカロイドとして,アトロピン,スコポラミンがあるが,それらの化学構造を変換して多数の合成代用薬がつくられている。
[自律神経節興奮薬ganglion stimulant agent]
 自律神経節細胞を興奮させる天然アルカロイドとしては,ニコチンとロベリンが古くから知られている。ここから,ニコチン様作用,ニコチン様受容体などの言葉が生まれた。…

【ロベリア】より

…薬用にされ,また帰化植物にもなっている。ロベリアソウは全草にアルカロイドのロベリンlobelineを含む。ロベリンは百日咳や喘息(ぜんそく)などの呼吸困難に対する呼吸興奮薬,催吐薬とされる。…

※「ロベリン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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