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訴訟要件 そしょうようけんProzessvoraussetzung

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

訴訟要件
そしょうようけん
Prozessvoraussetzung

民事訴訟法上,訴えが適法なものとして取り上げられ,訴訟上の請求 (→訴訟物 ) について本案判決がなされるために具備しなければならない事項。訴訟要件については,次のような分類がなされる。 (1) 積極要件と消極要件 前者は,ある事項が存在することが本案判決の要件になるものである (法律上の争訟性,管轄権当事者能力訴訟能力など) 。後者は,ある事項の不存在が本案判決の要件になるものである (同一事件の係属,仲裁契約の存在など) 。 (2) 職権事項と抗弁事項 前者は,当事者の主張がなくても裁判所が職権で斟酌しなければならない事項で,訴訟要件の大部分,当事者能力,訴訟能力などがこれに含まれる。後者は,当事者が主張しないかぎり問題にならない事項である (訴訟費用担保提供の申し立て,不起訴の合意など) 。また訴訟要件の審査時期について,管轄権は起訴の時に審査されるが,通常,訴訟要件は事実審の口頭弁論終結時にその具備または不存在が判断されるのが原則である。例外的に,裁判所の審判権の有無は上告審の審理終結時に判断されるとする判例がある。刑事訴訟法では訴訟条件というのが通常である。

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世界大百科事典 第2版の解説

そしょうようけん【訴訟要件】

訴え(民事訴訟の場合)あるいは起訴(刑事訴訟の場合)が,訴訟上適法であるための要件(民事訴訟法140条,刑事訴訟法329条,337~339条)。民事訴訟では,訴訟要件というが,刑事訴訟では,訴訟条件という。 訴訟要件は,1868年ビューローOskar Bülow(1837‐1907)により案出された概念であるが,その背景には,その時代にようやく私法上の権利と,訴訟法上の訴権が理論上も,法典上も分離したという事情がある(〈請求〉の項参照)。

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大辞林 第三版の解説

そしょうようけん【訴訟要件】

民事訴訟法上、裁判所が管轄権を有すること、当事者が当事者能力を有することなど、訴えが実質的な審判を受けるために必要な条件。訴訟条件。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

訴訟要件
そしょうようけん

民事訴訟法上、原告の請求の当否を判断する裁判(原告の主張する権利・義務の存否を判断する裁判で、本案判決という)を受けるために必要とされる要件をいう。原告から請求について裁判要求があっても、たとえば、裁判所がその事件につき裁判する権限をもっていなければ請求自体について判断することができないし、また、審判しても紛争の解決に役だたないときは審判してもむだになる。
 訴訟要件に何が該当するかについては、統一的な規定がないが、訴訟法の明文あるいは解釈により、その範囲がだいたい一致している。おもなものをあげれば、
(1)請求および当事者がわが国の裁判権に服すること
(2)裁判所が管轄権を有すること
(3)当事者が当事者適格を有すること
(4)訴えの利益があること
などである。
 訴訟要件は、原則として口頭弁論終結時において具備していなくてはならないが、裁判所は、その存否につき疑問があり、あるいは当事者間に争いがあるときは、職権ででも調査する。調査の結果、訴訟要件が備わっていれば、中間判決を出すか、そのまま審理を続け終局判決の理由中でその判断を示す。もし一つでも欠けていれば、補正できるものは補正命令を出し、補正できないときは、訴えを不適法として却下する(管轄違いのときは、管轄権のある裁判所へ事件を移送する)。
 刑事訴訟法上は、訴訟条件という語を用いる。[本間義信]

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世界大百科事典内の訴訟要件の言及

【訴え】より

… 訴えが提起されても,一定の要件を満たしていなければ本案判決(実体判決)に至らず,訴えは却下される(いわゆる門前払い判決)。この一定の要件を訴訟要件と呼ぶ。〈訴えの利益〉,当事者適格等がそれであるが,訴えが管轄のある裁判所に提起されることも含まれる(裁判管轄)。…

※「訴訟要件」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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