ロングフェロー(その他表記)Henry Wadsworth Longfellow

デジタル大辞泉 「ロングフェロー」の意味・読み・例文・類語

ロングフェロー(Henry Wadsworth Longfellow)

[1807~1882]米国詩人。健全な人生観を平明な表現でうたいあげた。ダンテの「神曲」の英訳でも知られる。作「人生の讃歌」「エバンジェリン」など。

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精選版 日本国語大辞典 「ロングフェロー」の意味・読み・例文・類語

ロングフェロー

  1. ( Henry Wadsworth Longfellow ヘンリー=ワズワース━ ) アメリカの詩人。歴史・伝承を盛った平易な表現の物語詩を作った。ダンテの「神曲」の英訳でも知られる。代表作人生の讚歌」「エバンジェリン」など。(一八〇七‐八二

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改訂新版 世界大百科事典 「ロングフェロー」の意味・わかりやすい解説

ロングフェロー
Henry Wadsworth Longfellow
生没年:1807-82

アメリカの詩人。メーン州ポートランドに生まれ,ボードン・カレッジ卒業後ヨーロッパに留学。その後,母校の近代語の教授,さらにハーバード大学に招かれてジョージ・ティクナーの後を継いで近代語の教授を務め,再びヨーロッパに留学した。その間にも早くより創作を始め,作者のヨーロッパ趣味を漂わせる散文《海の彼方に--巡礼は海を越えて》(1833-34),自伝的な散文《ハイペリオン》(1839),有名な〈人生のうたA Psalm of Life〉を含む詩集《夜の声》(1839),《バラードその他の詩集》(1842),フレンチ・インディアン戦争当時の実話をもとにした悲恋叙事詩エバンジェリン》(1847),インディアン伝説に取材した《ハイアワサの歌》(1855),初期プリマス植民地を背景とする恋愛叙事詩《マイルズスタンディッシュ求婚》(1858)などの作品を次々と発表し,教授詩人として並々ならぬ名声を確立しながら,さらにダンテの《神曲》の翻訳(1865-67)も行った。しかし同時代のJ.R.ローエルが《ビッグロー・ペーパーズ》などで反奴隷制の論争を展開したのに比べれば,ロングフェローの立場は,ローエルに現実逃避と非難されたO.W.ホームズの立場に似ている。その世界は,感傷というベールの彼方に現実を透かし見るような,趣味的に構築された現実描写を特徴としている。ヨーロッパ的教養や趣味を広い読者層に浸透させた点は功績といえ,やさしみのある滑らかな短詩の巧妙さを再評価する動きもある。

 日本では,1870年(明治3)中村正直が〈村の鍛冶屋The Village Blacksmith〉を〈打鉄匠歌〉(《英訳漢語》所収)と題して漢詩に翻訳。さらに《新体詩抄》(1882)に〈人生のうた〉などが外山正一井上哲次郎によって訳出された。いずれの翻訳も功名立身の処世訓を強調している。この2編の詩は英語の教科書にもしばしば採用された。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロングフェロー」の意味・わかりやすい解説

ロングフェロー
ろんぐふぇろー
Henry Wadsworth Longfellow
(1807―1882)

アメリカの詩人。2月27日メーン州ポートランドに生まれる。ボードン大学を卒業。ヨーロッパ留学ののち母校で6年間近代語教授を務め、ふたたび留学中、同行の妻が病死。1836年からハーバード大学教授となり、18年間その職にあった。海外旅行記、自伝的散文物語を出版後、多くの詩を発表。処女詩集『夜の声』(1839)収録の「人生讃歌(さんか)」は、おおらかに人生を肯定し、広範な読者に迎えられた。代表作には、著名な「村の鍛冶(かじ)屋」を含む『民謡その他の詩集』(1842)、悲恋哀詩『エバンジェリン』(1847)、フィンランドの叙事詩『カレバラ』に倣ったインディアン英雄詩『ハイアワサの歌』(1855)、ピューリタンの恋物語詩『マイルズ・スタンディッシュの求婚』(1858)などがある。61年、二度目の妻を火傷で失い、一時創作の筆が鈍ったが、『神曲』の英訳(1865~67)を完成。82年3月24日ケンブリッジで没。概して韻律は平易で、教訓的、感傷的内容の詩が多い。19世紀末ごろまではもっとも人気あるアメリカの代表詩人で、日本でも明治・大正時代を通じてよく読まれた。

[池田孝一]

『松山敏訳『ロングフェロウ詩集』(1953・人生社)』『大和資雄訳『夜の声』(『世界名詩集大成第11巻 アメリカ篇』所収・1962・平凡社)』『E・L・ハーシュ著、後藤昭次訳『ヘンリー・ワズワース・ロングフェロウ』(『アメリカ文学作家シリーズ 第七巻』所収・1968・北星堂書店)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロングフェロー」の意味・わかりやすい解説

ロングフェロー
Longfellow, Henry Wadsworth

[生]1807.2.27. メーン,ポートランド
[没]1882.3.24. マサチューセッツ,ケンブリッジ
アメリカの詩人。ボードゥン大学卒業。同級にホーソーンがいた。その後3年間のヨーロッパ留学を経て,母校の近代語学教授 (1829~35) をつとめた。 1835年再度ヨーロッパに渡り,ノバーリスなどドイツ・ロマン派の影響を受けた。帰国後ハーバード大学教授 (36~54) 。その詩は感傷性,教訓性が目立つがリズムにすぐれ,特に『エバンジェリン』 Evangeline (47) ,『ハイアワサ』 The Song of Hiawatha (55) ,清教徒軍人の恋を描く『マイルズ・スタンディッシュの求婚』 The Courtship of Miles Standish (58) などの長編物語詩は広く愛読された。そのほか,詩集『夜の声』 Voices of the Night (39) ,『民謡』 Ballads and Other Poems (42) ,物語詩『路傍の宿物語』 Tales of a Wayside Inn (63~73) ,詩劇3部作『クリスタス』 Christus (72) ,ダンテ『神曲』の翻訳 (65~67) など多数。

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百科事典マイペディア 「ロングフェロー」の意味・わかりやすい解説

ロングフェロー

米国の詩人。ハーバード大学で教鞭をとりつつ,処女詩集《夜の声》(1939年),牧歌風の物語詩《エバンジェリン》(1847年),フィンランドの《カレワラ》に影響を受けてインディアンを描いた《ハイアワサの歌》(1855年),さらにヨーロッパ民謡の紹介など多くの作品を発表,平明な表現とリズムで広く親しまれた。ダンテ《神曲》の翻訳も有名。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ロングフェロー」の解説

ロングフェロー
Henry Wadsworth Longfellow

1807~82

アメリカの詩人。マサチューセッツ州出身。ハーヴァード大学教授として文学を講じたが,晩年は詩作に専念した。代表作は『奴隷制に関する詩』『エヴァンジェリン』など。

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世界大百科事典(旧版)内のロングフェローの言及

【アメリカ文学】より

… 当時,上記のような先鋭な作家と違って,常識的な立場から作品を書き,多くの読者をかちえていた作家群もいた。《エバンジェリン》(1847)などの物語詩で有名なロングフェローや,O.W.ホームズ,J.R.ローエルらである。またこの時代,社会から孤立しながら独特の文学世界をつくっていた者もいる。…

※「ロングフェロー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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