ロン・ノル(読み)ロンノル

百科事典マイペディア 「ロン・ノル」の意味・わかりやすい解説

ロン・ノル

カンボジア政治家。1970年に国家元首シアヌーク追放のクーデタを指揮しクメール共和国樹立,1972年大統領に就任した。1955年以降シアヌーク政権の下で国防相などを歴任し,カンボジア王国軍を掌握しながら不正蓄財やシアヌークの政敵との連携を進め,米国の後押しを受けクーデタを挙行。カンボジア内の南ベトナム解放民族戦線を攻撃し,ベトナム人を虐殺した。これがカンボジア内戦の引き金となり,隣国でのベトナム戦争とからんで国政は混乱し国土は消耗した。1973年にパリ和平協定が結ばれたが戦闘は続き,1975年に北ベトナム正規軍が支援するクメール・ルージュが大攻勢をかけ,4月にプノンペン陥落ロン・ノルは逃亡しクメール共和国は滅亡した。
→関連項目カンボジアポル・ポト

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロン・ノル」の意味・わかりやすい解説

ロン・ノル
Lon Nol

[生]1913.11.13. ブレイベン
[没]1985.11.17. カリフォルニア,フラートン
カンボジアの軍人,政治家。軍人の子として生れ,1947年バッタンバン州知事,軍参謀総長,国防相などを経て,63年副首相。 66~67年首相。 68年ペン・ヌート内閣の副首相兼国防相。 69年8月再び首相兼国防相となり,軍を背景に右派重鎮となった。 70年3月元首 N.シアヌークのソ連訪問中にクーデターを起し,同 10月共和政移行を宣言。 72年3月大統領の地位についた。 73年4月最高政治評議会議長を,74年3月同評議会解散後は執行評議会議長を兼任。 75年4月1日アメリカの支持を失って陥落寸前のプノンペンを脱出,ハワイに亡命

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旺文社世界史事典 三訂版 「ロン・ノル」の解説

ロン=ノル
Lon Nol

1913〜85
カンボジアの軍人・政治家
陸軍士官学校卒。1955〜66年国防相・参謀長,1966〜67年と69年首相を歴任。親米右派として1970年3月,国家元首シアヌークの外遊中にクーデタを起こし,全権を握ってクメール共和国を成立。ロン=ノル政権成立後,アメリカ軍と南ヴェトナム軍が支援のためカンボジアに侵攻して,内戦が始まる。1972年3月大統領に就任したが,ポル=ポトの指揮する赤色クメール(クメール−ルージュ)など反政府軍の攻撃をうけ,1975年4月,プノンペン陥落直前にアメリカに亡命。

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20世紀西洋人名事典 「ロン・ノル」の解説

ロン・ノル
Lon Nol


1913.11.13 - 1985.11.17
カンボジアの政治家。
元・カンボジア大統領。
プレイベン州生まれ。
1951年国家警察長官、’55年国王軍参謀総長、’66年、’69年各首相を歴任。’70年シアヌーク追放クーデタを起こし’72年初代大統領就任。’75年国外脱出。

出典 日外アソシエーツ「20世紀西洋人名事典」(1995年刊)20世紀西洋人名事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のロン・ノルの言及

【インドシナ戦争】より

…こうして69年1月以降,アメリカ,南・北両政府,解放戦線の4者会議がパリで開催される一方,7月にはニクソン新大統領が米軍撤退,南ベトナム軍の強化を骨子とするグアム・ドクトリンを発表し,翌70年より本格撤兵を開始した。しかし米軍は同時に南ベトナム政府軍の後方安定のために,70年3月18日カンボジアのロンノルLon Nol首相に反シアヌーク・クーデタを起こさせ,親米的なクメール共和国を成立させた。ただちにアメリカ・南ベトナム軍はカンボジア領に入って解放軍の掃討作戦を展開し,一方,追われたシアヌークは左派勢力クメール・ルージュと連合してカンプチア統一戦線を結成し,各地でゲリラ活動に入った。…

【カンボジア】より

… 立国の2本の柱(中立政策とサンクム)は,中国寄りの紅色中立政策と急進的なサンクムの自力更生策に変わり,この舵取りをめぐってサンクム内部の左右両派の論争と確執が表面化した。右派のロンノル政権は70年3月にシアヌーク元首を解任し,アメリカ,南ベトナムと手を握った。一方,シアヌークとクメール・ルージュを中心にカンボジア(カンプチア)民族統一戦線が北京で結成された。…

※「ロン・ノル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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