1978年に登録され、2008年に登録内容が変更、さらに2013年に範囲が拡大されたポーランドの世界遺産(文化遺産)。範囲拡大以前の名称は「ヴィエリチカ岩塩坑」。ヴィエリチカ岩塩坑は、クラクフの南東15kmにあり、13世紀から産出が続けられている世界最古の岩塩坑である。地下坑道は深さ300m以上、総延長300km、幅1kmに達し、坑内作業員たちが採掘道具を使って彫った岩塩の彫刻、「塩のマリア像」を祀(まつ)る豪華な聖堂や、岩塩のレリーフがある。坑内の湿気により岩塩の彫刻などに被害が及び、1989年には危機遺産リストに記載されたが、その後、湿度への対策が取られ、1998年に解除された。2013年の範囲拡大で加えられたボフニア岩塩坑は、ヴィエリチカ岩塩坑の30km東にあり、同じく13世紀から産出が始まった。300mの深さで、8層4.5kmの坑道がある。坑内には、教会や店舗などがあり、岩を掘る修道士などが人形で再現され、塩の壁に彫られた芸術作品がある。クラクフを都としたポーランド王国の全盛期である14世紀に、「白い金」と呼ばれた岩塩は、国家財源の3分の1を占めていたことからも、岩塩抗の荘厳さが理解できる。◇英名はWieliczka and Bochnia Royal Salt Mines