山川 世界史小辞典 改訂新版 「ヴィジャヤナガル王国」の解説
ヴィジャヤナガル王国(ヴィジャヤナガルおうこく)
Vijayanagar
1336~1649
南インドのヒンドゥー王国。ハリハラとブッカの兄弟が,トゥグルク朝の支配を脱して建国し,首都ヴィジャヤナガル(「勝利の町」の意。現カルナータカ州)を建設した。サンガマ朝,サールヴァ朝,トゥルヴァ朝,アーラヴィードゥ朝という,血統の異なる4王朝が継起。第3王朝初期のクリシュナデーヴァラーヤ王(在位1509~29)のときに最盛期を迎え,一時,ベンガル,オリッサ,デカン西部,セイロンにまで支配を拡大し,ポルトガル人とも活発に交易した。1565年のターリコータの戦いでデカンのムスリム5王国軍に敗れて,衰退に向かい,首都もしだいに南遷した。地方支配体制には初め混乱がみられたが,15世紀末には,国王から知行地を授与された領主層ナーヤカによる支配体制が成立し,安定性を増した。しかし,やがて半独立のナーヤカ領国も出現し,17世紀半ばに王国は滅亡した。首都ヴィジャヤナガルには,独特の様式の石造建築群が造営されたが,1565年の敗戦により破壊された。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報