旺文社世界史事典 三訂版 「ヴィルヘルム」の解説
ヴィルヘルム(1世)
WilhelmⅠ
プロイセン王(在位1861〜88),ドイツ帝国の初代皇帝(在位1871〜88)
兄フリードリヒ=ヴィルヘルム4世のあとをついで即位。1862年からビスマルクを用いて軍国主義政策を進め,64年の対デンマーク戦争,66年の普墺 (ふおう) 戦争に勝って北ドイツ連邦を組織した。さらに1870〜71年の普仏 (ふふつ) 戦争の勝利により,ドイツの統一を完成してドイツ帝国を樹立し,初代の皇帝となった。親ロシアの立場に立ち,独墺同盟に反対であったが,結局,ビスマルクの外交政策にまかせた。1878年に2回の皇帝暗殺未遂事件が起こり,社会主義者鎮圧法を制定して社会主義運動を厳しく取り締まった。
ヴィルヘルム(2世)
WilhelmⅡ
ドイツ帝国の3代目にして最後の皇帝(在位1888〜1918)
イギリス王ヴィクトリア女王の娘を母とし,即位後間もなく内外政策でビスマルクと衝突して彼を罷免(1890)し,「ドイツの未来は海上にあり」と称して“新航路”と呼ばれる積極的な世界政策を開始した。イギリスとの建艦競争,フランスとのモロッコ事件のほか,パン−ゲルマン主義を推進してオスマン帝国に接近し,3B政策によりバルカン・近東への進出をはかるなど,その帝国主義政策はイギリス・フランスと衝突,第一次世界大戦の原因をつくった。1918年の敗戦と革命により退位し,オランダへ亡命した。
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