一切経会(読み)イッサイキョウエ

デジタル大辞泉 「一切経会」の意味・読み・例文・類語

いっさいきょう‐え〔イツサイキヤウヱ〕【一切経会】

一切経を供養するために行う法会。経の題目のみを唱える。

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精選版 日本国語大辞典 「一切経会」の意味・読み・例文・類語

いっさいきょう‐え‥キャウヱ【一切経会】

  1. 〘 名詞 〙 仏語。一切経を供養する恒例の法会(ほうえ)。一切経を読誦(どくじゅ)する法会で、多くは経の題目を唱える。大蔵会。
    1. [初出の実例]「延久元年夏比(ごろ)はじめて一切経会を行なはせ給ひけり」(出典古今著聞集(1254)六)

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改訂新版 世界大百科事典 「一切経会」の意味・わかりやすい解説

一切経会 (いっさいきょうえ)

漢訳仏教経典の集大成である一切経を供養する法会。一切経は大蔵経ともいい,中国では6世紀初頭から集成されはじめ,10世紀には宋版一切経が印刷された。日本では673年(天武2)3月,初めて飛鳥川原寺で一切経を書写せしめたが(《日本書紀》),これを完成し供養したかどうかはあきらかでない。一切経会が文献に出るのは《初例抄》や《濫觴抄》の1069年(延久1)で,宇治一切経会または平等院一切経会とよばれるものである。すなわち宇治関白頼通が平等院ではじめたもので,《濫觴抄》には同年2月29日におこなわれ,のちに3月になったとあるから,桜の花の季節の華麗な法会であった。なぜこの時代に一切経会がはじまったかといえば,宋版一切経がこのころ完全な一具として舶載されるようになったからである。現在,経会(きようえ)と称して中国,四国地方で結衆寺院の法会がおこなわれるのは,これが民間に残ったものとおもわれる。
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