一品経(読み)いっぽんぎょう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

一品経
いっぽんぎょう

多数の人に均等の功徳と多くの結縁をもつために,『法華経』二十八品を一品ずつ分担して書写した経。平安時代中頃から鎌倉時代にかけて流行した。高野山金剛峰寺の『紺紙金字経』や『平家納経』『久能寺経』は代表的作品例。

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デジタル大辞泉の解説

いっぽん‐ぎょう〔‐ギヤウ〕【一品経】

《「いっぽんきょう」とも》
法華経などの写経の際、多くの人が一品ずつ分担して書写すること。
法華経二十八品を一品ずつ各一巻に仕立てたもの。また、その一品ずつを仏前読誦(どくじゅ)すること。

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世界大百科事典 第2版の解説

いっぽんきょう【一品経】

仏教の経典を章節(品(ほん)という)ごとに1巻に仕立てた写経。遺品のうえからはほとんど《法華経》に限られる。《法華経》は奈良時代以来しばしば写経されたが,藤原道長は1002年(長保4)5月,自邸で《法華経》の1品ずつを講賛する〈法華三十講〉を始行し,以後これを恒例とした。こうしたことが機縁となって,一品経写経が盛んになった。《平家納経》《久能寺経》《慈光寺経》《長谷寺経》(いずれも国宝)など,遺品は優れた装飾経が多い。

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大辞林 第三版の解説

いっぽんぎょう【一品経】

写経の際に、多くの人が、一部の経を一品ずつ分けて書写すること。
法華経を一品ずつ独立させて作った経。写経の際は、通常法華経二八品に無量義経と観普賢経の開結かいけち二経を添え、二八品と開結をそれぞれ分担して書写する。

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世界大百科事典内の一品経の言及

【装飾経】より

…さらに《法華経》信仰の中で法華八講と呼ばれる法会が盛行し,華美な行事となっていった。また結縁経(一品経)という,《法華経》二十八品を多くの者が分担して書写調巻する儀礼が生まれ,こうした行事の中から経巻装飾は《法華経》を中心に装飾の華美を競うに至った。そうした結縁経の早い例が,《栄華物語》に伝える1021年(治安1)の皇太后子の女房らが行ったもので,〈経とは見え給はで,さるべきものゝ集などを書きたるやう〉だったといわれるが,装飾経が生まれた条件の一つとして,料紙装飾の技術の発達があったのである。…

※「一品経」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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