デジタル大辞泉
「結縁」の意味・読み・例文・類語
けち‐えん【▽結縁】
1 仏語。
㋐仏・菩薩が世の人を救うために手をさしのべて縁を結ぶこと。けつえん。
㋑世の人が仏法と縁を結ぶこと。仏法に触れることによって未来の成仏・得道の可能性を得ること。けつえん。
2 関係ができること。特に親類になること。けつえん。
「御両家の―の為にこそ御加勢もいたしつれ」〈蘆花・不如帰〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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けち‐えん【結縁】
- 〘 名詞 〙
- ① 仏語。仏道に縁を結ぶこと。未来に成仏する機縁を作ること。また、そのために写経や法会を営むこと。
- [初出の実例]「高麗大興王方睦大倭、尊重三宝、遙以随喜、黄金三百廿両助成大福、同心結縁」(出典:醍醐寺本元興寺伽藍縁起并流記資財帳‐天平一九年(747))
- ② 大事なもの、貴重な文物に接する機会を得ること。
- [初出の実例]「泉涌寺常住禅月大師筆十八羅漢〈略〉今日被レ備二叡覧一、以レ次可レ令二拝見一之由也、結縁尤歓喜也」(出典:実隆公記‐永正八年(1511)三月二〇日)
- ③ 事件などに関係すること。連座すること。
- [初出の実例]「仙洞女房事種々風聞、所詮与安密通者台所別当也、〈山徒樹下息女〉。但与安に不レ限有二結縁之人数一。御糺明之間白状申」(出典:看聞御記‐応永三一年(1424)五月九日)
- ④ 親戚になること。縁者となること。
- [初出の実例]「当家に於ては御両家の結縁(ケチエン)の為めにこそ御加勢もいたしつれ」(出典:不如帰(1898‐99)〈徳富蘆花〉中)
結縁の補助注記
語形は一般に「けちえん」であるが、「日葡辞書」に「Qetyen(ケツエン)。または、qechiyen(ケチエン)」とあり、節用集等にも両形見えるところから、中世においては「けつえん」とも発音されていたとみられる。
けつ‐えん【結縁】
- 〘 名詞 〙 =けちえん(結縁)
- [初出の実例]「惣して結縁(ケツえん)経営の人夫までもほとほとに随て」(出典:延慶本平家(1309‐10)一)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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結縁 (けちえん)
仏法と縁を結ぶこと。(1)仏・菩薩が衆生救済のために衆生と縁を結ぶこと,(2)衆生が仏道修行のために仏法僧の三宝と縁を結ぶことをいう。結縁は,ただちに修行に入り悟りを得ることに直結しなくとも,これが縁となって将来の成仏(じようぶつ)につながる因縁として重要視された。密教ではその教えに接する者を結縁機といい,諸尊のなかから自分の守本尊を選びとる灌頂(かんぢよう)を結縁灌頂という。また結縁のために経文を書写することを結縁経といい,これを供養する法会を結縁経供養という。結縁のために法華経を8座にわたって講ずる法華八講を結縁八講,結縁のために読経回向するのを結縁諷経(ふぎん)という。浄土宗の教義を5通りに分かって伝授する結縁五重(ごじゆう),結縁授戒などがある。縁日は仏と結縁する日という意味であり,あらゆる機会をとらえて人々と仏法の縁を結び,その功徳で信仰に導こうとしたものである。また堂塔の建立に対する布施(ふせ)も結縁という。
執筆者:藤井 正雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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普及版 字通
「結縁」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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