下総(しもうさ)国小金(こがね)(現千葉県松戸市)に開かれた普化(ふけ)宗金先(こんせん)派の本寺。1254年(建長6)来朝し、普化宗を広めた中国、宋(そう)の僧金先の創建とされるが、金先は遍歴中不明となり、いっしょに来朝した理正(りしょう)だけが住していた。江戸時代には浪人や零落者が住したが、1677年(延宝5)幕府の命により、大法を犯した追放人などの隠匿が禁止された。武蔵(むさし)新町(東京都青梅(おうめ)市)の鈴法寺(れいほうじ)とともに関東における虚無僧(こむそう)の触頭(ふれがしら)として知られたが、1871年(明治4)普化宗の廃止に伴い廃寺となった。
[石上善應]
…その派徒から室町期に朗庵(風穴道者)と称する者がでて普化宗がさかえたといわれる。また宝伏の法を継いだ金先(下総小金,一月寺開祖)が尺八を法器とし薦僧のもととなったともいわれる。薦僧を虚無僧と表すようになったのは,世は虚仮で実体がないと観じ心を虚にするという考え方によるとか,また覚心の一系に虚無と称する者がでて服装や吹曲を整え形式を確立したことによるなど諸説がある。…
※「一月寺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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