触頭(読み)フレガシラ

デジタル大辞泉 「触頭」の意味・読み・例文・類語

ふれ‐がしら【触頭】

室町時代京都町組で、上京13の町組を親町、その他枝町とした、親町のこと。奉行命令を枝町に伝達した。
江戸時代寺社奉行の命令を配下寺院に伝達し、また、配下の寺院からの訴願を奉行に伝えるのを役とした寺。

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精選版 日本国語大辞典 「触頭」の意味・読み・例文・類語

ふれ‐がしら【触頭】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 室町時代、京都で奉行の命令を枝町に伝える、親町と呼ばれた一三の町組。
  3. 法度(はっと)禁制、触書(ふれがき)を伝達する役目をおったもの。
    1. [初出の実例]「金春方より松井喜左衛門を差出し両人触頭と定む」(出典:随筆・猿楽伝記(1736‐41頃か)下)
  4. 江戸時代、寺社奉行の命令を配下の寺院に伝達し、また配下の寺院の訴願を寺社奉行に取り次ぐ事を役職とした寺。また、寺社奉行との連絡をとり、統轄をつかさどった高位の僧侶
    1. [初出の実例]「真言宗の触頭(フレガシラ)たる彌勒寺へ急度被仰渡けり」(出典:随筆・武野俗談(1757)二)
  5. 江戸時代、商工業者の組合で、幕府の命令を組合員に伝え、組合員の願、届などを幕府に取り次いだもの。
  6. 明治元年(一八六八)に政府の布告を神社に伝達することを命じられた特定の社家。
  7. 太政官の布告書類を諸藩に伝達するのを任務とした藩。慶応四年(一八六八)四月一七日に触頭二四藩中三藩が月番で務めることになった。

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改訂新版 世界大百科事典 「触頭」の意味・わかりやすい解説

触頭 (ふれがしら)

江戸時代の寺院統制機構の一つ。幕府および各藩の寺社奉行の下で,本山および一般寺院の上申下達の仲介を行い,また一定の統制にあたった寺院をいう。室町幕府僧録司僧録)がその起源。戦国期には各大名が有力寺院を僧(総)録とか録所の名で呼び,領内寺院の統制にあたらせた。宗派別に置かれた場合と全宗派を合して一寺とした場合があり,これは江戸時代の各藩ごとの触頭の場合にも同様にみられる。これとは別に,1635年(寛永12)に幕府が寺社奉行を設置すると,それとの対応関係上,各宗派は江戸に触頭寺院を置いた。たとえば,真宗では築地本願寺浅草別院浄土宗では増上寺,曹洞宗では総寧寺(下総)・大中寺(下野)・竜穏寺(武蔵)の関三刹が,それぞれ触頭とか僧録と呼ばれて,その任にあたった。身分制支配体制をとる江戸幕府の行政組織からいえば,寺社奉行-触頭は,僧侶身分を一元的に統制する性格をもつものといえる。
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百科事典マイペディア 「触頭」の意味・わかりやすい解説

触頭【ふれがしら】

江戸時代の寺院統制機構の一。幕府および各藩の寺社奉行の下,本山および一般寺院の上申下達の仲介を行い,また一定の統制にあたった寺院をいい,僧侶身分を一元的に統制する性格をもつ。室町幕府の僧録司(そうろくし)(僧録)が起源。宗派別に置かれた場合と,全宗派を合わせて一寺とした場合がある。これとは別に,1635年幕府の寺社奉行設置に伴い,各宗派は江戸に触頭寺院を置き,それぞれ触頭とか僧録とよび,その任にあたった。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「触頭」の解説

触頭
ふれがしら

触は為政者の法令などを世間に広く布告する意。町組が発達した室町時代の京都では,奉行などの命令を枝町に伝える親町の上京13組を触頭と称した。また江戸時代,寺社奉行のもとに属して幕命を各寺院に下達し,寺院の訴願を幕府に上申した仲介機関をいう。おもに江戸の有力寺院が任命され,曹洞宗・臨済宗では僧録,浄土真宗では輪番,浄土宗では役者などといった。地方には触頭の命を藩内寺院に伝達する小触頭があった。

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