一言主神社(読み)ひとことぬしじんじや

日本歴史地名大系 「一言主神社」の解説

一言主神社
ひとことぬしじんじや

[現在地名]御所市大字森脇字角田

葛城かつらぎ山南東麓に東面して鎮座。社前を一言寺いちごんじ道が南北に走る。法人名は葛城一言主神社。「延喜式」神名帳の葛上かつじよう郡には「葛木坐一言主神社名神大、月次相嘗新嘗」とみえ、俗に「一言神イチゴンジンさん」といわれる。事代主ことしろぬし命・幼武わかたける(雄略天皇)を祀る。旧県社。一言主(古事記)・一語主(日本霊異記)は一事主とも書き(「日本書紀」雄略天皇四年二月条)素盞嗚すさのお尊の子で(先代旧事本紀)、「吉事一言、凶事一言、言放之葛木一言主神」と称して(釈日本紀)、凶事も吉事も一言で解決する神とされた。一言で願いをきいてくれるという信仰は今も強く残る。雄略天皇が葛城山で狩猟をした時、この神は天皇と同姿で出現、狩猟を競ったと伝え(古事記・日本書紀)役行者が諸神を集めて金峯きんぶ山・葛城山間に架橋工事をした際、顔が醜かったので夜間のみ工事に従事、行者の怒りにふれて呪縛された神でもある(今昔物語集)。「日本書紀通証」は音の近似からこの神を事代主命と同一とする。


一言主神社
ひとことぬしじんじや

[現在地名]境町猿山 代田

猿山さるやまのほぼ中央西寄りに鎮座。祭神一言主命。旧村社。鬱蒼とした木立の中の一の鳥居・二の鳥居の先は台地で、東向きに社殿が建つ。南側に神池があり神橋を有する。社伝によると大同四年(八〇九)現奈良県御所ごせ市の一言主神社の分霊を鎮斎したものという。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の一言主神社の言及

【綱火】より

…ともに国指定重要無形民俗文化財。水海道市大塚戸町の一言主(ひとことぬし)神社でも9月13日に行われている。【西角井 正大】。…

※「一言主神社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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