キリスト教のすべての聖人を記念する祝日。カトリック教会では〈諸聖人の祝日〉と呼ぶ。また一般にハローマスHallowmas(hallowはアングロ・サクソン語で〈聖人〉の意)とも呼ばれる。西方教会では11月1日,東方教会では聖霊降臨祭後の最初の日曜日に祝う。この祝日は4世紀に東方教会で始まり,しだいに西欧に伝わったが,その日が11月1日にほぼ固定したのは800年ごろといわれ,さらに教皇グレゴリウス4世(在位827-844)がこの日をローマ教会の祭日表に加えた。11月1日は2月2日,5月1日,8月1日とともにより多くの生活を牧畜に依存していた異教時代の四大祭日の一つで,新しい年の始まる日として最も重要な日であった。その前夜ハローウィーンは新火をたきつける日として盛大な火祭りが行われた。この日は放牧中の家畜を寒さにそなえて畜舎に入れる日であり,死者の霊をわが家の炉端に迎える日であった。農民は自分で火をたき先祖の霊を導き,悪魔を追い払った。この日に死者をまつる習慣はヨーロッパ全土で広く行われていたが,教会はこの異教の習慣を抑えるために万聖節を定め,さらに翌11月2日を万霊節All Souls'Dayとした。イギリスでは祭りの習慣がガイ・フォークス・デー(11月5日)に残っている。
執筆者:三好 洋子
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…その他の異教時代の祝日にもいちいちキリスト教の祝日名がかぶせられた。たとえば,ハローマスは万聖節,キャンドルマスは〈聖マリアの御潔めの祝日〉,古代ローマの春分の日の3月25日は〈受胎告知日〉,夏至は〈洗礼者聖ヨハネの生誕の祝日〉(ヨハネ祭)と呼ばれるようになった。 中世後期になってもなお,遠い父祖から伝わる異教時代の祭りを,農民が教会の庭で思うさま楽しむことができたのは,教会の寛大なはからいによるものであった。…
…冬穀播種のあと,翌年の春穀畑を犂耕する。万聖節(11月1日)で始まる11月は夏の間放牧し,肥育した家畜を畜舎に追い込むときである。農民の採草畑は少なく,家畜の冬季飼料用の干し草を十分に準備することができなかったため,必要最小限の家畜を残して屠殺した。…
…これは死の神サムハインをたたえ,新しい年と冬を迎える祭りで,この日の夜には死者の魂が家に帰ると信じられた。キリスト教の伝播にともない,この祭りはキリスト教にとりこまれ,諸聖人の祝日である万聖節(11月1日)の前夜として位置づけられた。hallowとはアングロ・サクソン語で〈聖徒saint〉を意味し,All Hallows Even(万聖節前夜祭)がつづまって〈Halloween〉となった。…
※「万聖節」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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