改訂新版 世界大百科事典 「三井高棟」の意味・わかりやすい解説
三井高棟 (みついたかみね)
生没年:1857-1948(安政4-昭和23)
明治・大正・昭和3代にわたる三井財閥の総帥。高福(たかよし)の八男。京都生れ。1872年三井同族子弟のアメリカ留学に加わり,74年帰国,財閥形成期の三井経営陣に入った。85年総領家の家督を相続,第15代八郎右衛門を襲名し,井上馨らの指導下で家政を近代化,事業を拡大した。93年最高統轄機関として三井家同族会を設立,1900年制定の三井家憲の下でその議長に就任。1896年三菱の岩崎弥之助と並び三井家初の男爵に叙された。1909年三井合名会社発足とともに社長となり,大番頭益田孝,団琢磨らと名コンビを組んだ。33年恐慌下に財閥攻撃の最中,三井合名社長・同族会議議長を辞任,家督を嗣子高公に譲り隠退した。財閥解体を見届けて91歳で死去。
執筆者:松元 宏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報