三人の女(読み)サンニンノオンナ(英語表記)Three Lives

デジタル大辞泉 「三人の女」の意味・読み・例文・類語

さんにんのおんな〔サンニンのをんな〕【三人の女】

《原題Three Livesスタインの短編小説集。1909年刊。19世紀後半、米国東部の都市ボルチモアを舞台に、下級階層に属する3人の女性人生を描く。「お人好しのアンナ」「メランクタ」「やさしいレナ」の三つ物語からなる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「三人の女」の意味・わかりやすい解説

三人の女
さんにんのおんな
Three Lives

アメリカの女流作家ガートルード・スタインの初期の短編集。1909年刊。フロベールの短編集『三つの物語』と画家セザンヌの「婦人像」から暗示され、実験的手法で書かれた3人の女の物語。第1話は、お人好しのドイツ女アンナがアメリカ南部に渡って、さまざまな主人に仕える話。第2話は、混血黒人娘メランクタが、結婚相手の混血の夫や黒人の婚約者にむごく扱われ、肺病で死ぬ話。第3話は、やさしくて気だてのいいドイツ女レナがアメリカ南部で女中となり、愚かなドイツ人の仕立屋と結婚し、出産で死ぬ話。いずれも伝統的な筋立てや説明的叙述を排して、女性の意識と感情起伏を具体的に記述している。

[新倉俊一]

『富岡多恵子訳『三人の女』(1969・筑摩書房)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の三人の女の言及

【スタイン】より

…なかでも彼女の散文から最も多くを学んだのは,まだ若い無名作家だったヘミングウェーである。フローベールの《三つの物語》(1877)とセザンヌの婦人像の影響下に書いたという小説《三人の女》(1909)で,彼女は徹底的にアメリカ口語を用い,句読点の破格使用と単純な文章の重複からなる個性的な文体を確立した。以後それは《やさしいボタン》(1914),《アメリカ人の成立ち》(1925)などで,さらに破格の度合を高め,文学的抽象性の極限を追求した。…

※「三人の女」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android