改訂新版 世界大百科事典 「三因方」の意味・わかりやすい解説
三因方 (さんいんぽう)
Sān yīn fāng
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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医学書。正式の書名は『三因極一病証方論(さんいんきょくいちびょうしょうほうろん)』という。中国、宋(そう)代(960~1279)の陳言(字(あざな)は無択)の撰(せん)。18巻よりなる。病気の原因は三因(内因、外因、不内外因)によるとする。内因とは、喜怒憂思悲恐驚の七情であり、臓腑(ぞうふ)より発して肢体(したい)に現れる。外因は、寒暑燥湿風熱の六因で、経路(けいろ)よりおこり臓腑に宿る。不内外因は、飲食の飢餓・飽食、大声を出して気を傷めたものや虎狼(ころう)・害虫・金瘡(きんそう)・圧溺(あつでき)の類である。内科・外科・産婦人科・小児科などについて病証を述べ、治療の処方を記している。
[山本徳子]
…中国医学ではすべての場合にこのような病因が考えられていたわけではなく,実際的な診療の場では観察された病変に応じて薬物を投与するという方法がとられていたことが多い。宋代になると陳言は《素問》の考えを多少変更して《三因方》(1174ころ撰)を著し,病気には内因によって臓腑を損なわれたものと,外因によって経絡を経て臓腑に障害を起こしたものと,飢餓とか金瘡(きんそう)など不内外因によるものがあるとした。 金・元の医家は《素問》の説をさらに進めて,五行の関係を強調した運気説(運気論)を重視し,薬物治療の場合にも経絡の障害を重視している。…
※「三因方」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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