上海ディズニーリゾート(読み)しゃんはいでぃずにーりぞーと

知恵蔵 「上海ディズニーリゾート」の解説

上海ディズニーリゾート

中国・上海市で2016年6月16日に開業予定のテーマパークリゾート。総工費は約55億ドル(約6300億円)で、米娯楽・メディア大手のウォルト・ディズニーと上海市政府系の「上海申迪(シェンディ)集団」が出資して建設を進めている。テーマパークの「上海ディズニーランド」と飲食物販などの商業施設「ディズニータウン」、ホテル2棟などで構成される予定で、中国本土では初、アジアでは東京、香港に続き3カ所目のディズニーリゾートとなる。ディズニーのテーマパークとしては、世界で12カ所目。全体の工事計画は3期に分かれており、拡張用地も含めた総面積は約390ヘクタールと東京ディズニーリゾートの約2倍であるため、最終的にはアジア最大のディズニーリゾートになる予定。
中国の習近平(シー・チンピン)国家主席が上海市のトップである党委員会書記を務めていた07年頃に構想が浮上し、11年に着工した。上海ディズニーランドは、世界のディズニーリゾートの中でも最大という中心施設「奇幻童話城堡(魔法にかけられたおとぎの城)」や中国でも人気を博した冒険映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」の施設「トレジャー・コーブ」など六つのエリアで構成。演出には中国伝統の演劇雑技といった中国的な要素も取り入れ、パレードでは、ディズニーが中国の伝説を基に映画化した「ムーラン」の主人公が登場する。
入場券は、いずれも16年2月末時点のレートで、平日は大人370元(約6500円)、週末や夏休みは499元(約8700円)。ピーク時は東京ディズニーリゾート(16年4月から大人7400円)よりも高くなる。
中国の大手旅行会社などは、年間入園者数は、香港ディズニーリゾート(14年は750万人)を大きく上回る1000~1500万人に上ると予想。3期まで工事が完了、開業すれば4000万人に膨らみ、東京ディズニーリゾート(14年度は3137万人)を超えるという見方もある。入園者の9割以上は中国国内からと見込まれており、現在、約5割を本土の中国人が占める香港ディズニーにとって脅威となると指摘されている。これに対し、香港ディズニーの株主の香港政府は、アトラクションの大規模増設などを計画している。
上海ディズニーの開業は、地元に大きな経済効果をもたらすといわれる。中国の大手証券会社、海通証券は、宿泊施設や周辺地域への観光客増などは、上海の年間小売売上高を4%押し上げると試算。周辺地区の住宅価格が5年で5倍になったという話もあり、観光客増を当て込んだホテルの建設も進む。15年12月には最寄りの空港となる上海浦東国際空港の拡張工事も決まり、利用者数は15年の延べ6000万人から、25年には8000万人に増加すると見込まれている。

(南 文枝 ライター/2016年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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