上関原発(読み)かみのせきげんぱつ

共同通信ニュース用語解説 「上関原発」の解説

上関原発

中国電力が山口県上関町で新規建設を計画する2基の原発改良型沸騰水型軽水炉で、出力は137・3万キロワット。1982年の計画浮上後、地元では建設推進派と反対派が激しく対立してきた。2009年10月に海の埋め立て工事を開始したが、抗議活動で工事は進まず、11年の東京電力福島第1原発事故後に中断。埋め立て工事を巡り訴訟も起きている。

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百科事典マイペディア 「上関原発」の意味・わかりやすい解説

上関原発【かみのせきげんぱつ】

中国電力が建設を予定している原子力発電所。山口県熊毛郡上関町大字長島の瀬戸内海に面している土地に建設計画中の原子力発電所である。長島西端の田ノ浦の山林を切り開いて海面を埋め立てる。改良型沸騰水型軽水炉2基の建設が計画され,2018年,2022年の運転開始を予定している。しかし,海底活断層の可能性も指摘されており,上関町では長年建設をめぐって住民を二分する反対運動が続いているほか,隣接している祝島にも反対運動がある。2011年3月の福島第一原発事故の発生で,二井・山口県知事(当時)は中国電力に対して事実上の埋立て工事の中止を要請,中国電力はこれに対して3月15日に造成工事の中断を発表。耐震安全性を調べる追加の地質調査と,動植物の生息状況などを調べる環境監視調査は続けた。二井知事(当時)は,2008年の原発予定地の埋立て許可について,原子力発電所における公有水面埋立て法の運用手続きに問題があったとの見解を示した。2012年10月,山本知事(当時)は中国電力の予定地域の埋め立て免許延長申請について不許可を明言したが,2013年3月,可否の判断を2014年4月に先延ばしする方針を示した(山本知事は判断を示さないまま2014年1月健康上の理由で辞職)。山口県における2012年12月の衆院選,2013年4月の参院補選とも,上関原発問題は争点化されないまま,原発維持・推進の自民党圧勝している。2014年2月の山口県知事選でも,山本知事の後継者として自民党が擁立した村岡嗣政候補(自民・公明推薦)が上関原発建設問題で〈エネルギー政策は国が考えること〉として争点化せず,対立候補を破って圧勝,県民関心の薄さを浮き彫りにした。山本前知事が判断を先送りして中断されている準備工事を早期に再開するかどうか,県の判断が注目されたが,2014年10月,村岡知事がさらに1年間の判断先送りを表明した。

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