日本大百科全書(ニッポニカ) 「下見板張り」の意味・わかりやすい解説
下見板張り
したみいたばり
横羽目板壁の一種で、上方の板の下端を下方の板の上端に羽重ねにして張る方法。各段の板の傍(そば)(板の長手方向の木口)が下側にみえる形になるのでこの名があり、また鎧(よろい)の錣(しころ)に似ているので鎧張りなどとよばれることがある。板を平坦(へいたん)に張るよりも雨水の浸透を防ぎやすいので、和風、洋風とも木造建築の外壁に使用される。下見板張りには、板を単に柱や間柱に釘(くぎ)止めし、ややていねいなものでは羽重ね部分にも釘止めする南京(なんきん)下見とよばれるもののほか、板の上を押し縁で押さえるもの、簓子(ささらこ)(押し縁に板の重ねにあわせた刻みをつけたもの)で押さえるものがあり、それぞれ押し縁下見、簓子下見とよばれる。とくに厚い板を用いて傍に相欠きなどの仕口をつくり、重ね部分を吻合(ふんごう)させるものを箱目地下見(一名ドイツ下見)といい、下見板張りのなかでは高級とされている。なお、この箱目地と簓子とを組み合わせる場合もある。ただし洋風建築では高級工事でも押し縁や簓子を用いないのが普通である。なお、洋風下見ではペイント塗り、和風下見では柿渋(かきしぶ)などを塗って化粧と防腐を兼ねることが多い。
[山田幸一]