下請企業(読み)したうけきぎょう(その他表記)subcontractor

翻訳|subcontractor

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「下請企業」の意味・わかりやすい解説

下請企業
したうけきぎょう
subcontractor

企業から製造,修理などの委託を受ける中小企業。親企業の側からするとあらゆる製品を自社内で製造,修理することはむずかしい場合が多く,その一部を外部の中小企業に発注することになる。しかもそのほうがコスト採算や資本の効率などの点から有利である。一方,委託を受ける中小企業の側からみると注文量がふえ,操業を確保できる。しかし,実際の企業間の力関係からみて,親企業のほうが優位に立ち,資材の支給,技術の指導,資金繰り援助,代金の支払いなどを通じて支配,従属の関係が成立しており,その弊害除去のため下請代金支払遅延等防止法が制定されているが実効はあがっていないとされている。また下請企業にも経営規模の大小,経営力の強弱などの相違によって1次下請け,2次下請けなどの区別が生れ,親企業の系列化政策のもとにおかれている。

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百科事典マイペディア 「下請企業」の意味・わかりやすい解説

下請企業【したうけきぎょう】

自社製品の製造ではなく親会社の注文により加工した部品材料などを納入する企業。製造業に一般的な形態で,完成品メーカーである親会社は大企業が多いのに対し,下請はほとんど中小企業で,親会社への資金的・技術的従属関係が強い。その不利な取引関係を補うため下請代金支払遅延等防止法など立法措置がなされている。

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世界大百科事典(旧版)内の下請企業の言及

【下請】より

…逆に,発注企業の需要独占が存在せず,かつ,受注企業の競争が激しくない場合には,価格形成は受注企業に有利になり,下請関係は成立しない。
[下請企業の多い産業とその存在形態]
 下請企業は,製造業のみならず建設業やサービス業にも存在している。製造業においては,一般機械,電気機械,輸送用機械,精密機械などの組立産業と繊維産業において下請企業が多い。…

【中小企業】より

… 第3は,大正時代以降の重工業の発展に伴う,いわゆる下請工業(〈下請〉の項参照)の経営である。造船,車両,電機,機械などの日本の重工業は,低賃金の維持と,景気変動のクッションとして部品の生産をできるだけ外部の下請企業に発注させる方針をとった。これに対し,一定の技術を身につけた製造業者は〈小回り〉の利益を生かして受注に乗り出したので,ここに下請企業が広い分野で生成し,昭和年代になって著しく発展した。…

【部品工業】より

…一般に,部品工業はアセンブリー・メーカーに比較して企業規模が小さい多くの中小メーカーから成り立っている(小型の簡単な部品であれば小規模の設備と労働者で生産できるため)。また,アセンブリー・メーカーが部品メーカーに部品の生産を委託している場合,部品メーカーは下請企業と呼ばれ,日本では自動車,電気機械,工作機械等の産業で広範にみられる。下請の場合,アセンブリー・メーカーから資金,技術等の面で支援を受けることがあるが,他方,品質向上・コスト削減等の要求も出される。…

※「下請企業」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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