与謝野(町)(読み)よさの

日本大百科全書(ニッポニカ) 「与謝野(町)」の意味・わかりやすい解説

与謝野(町)
よさの

京都府北西部、与謝(よさ)郡にある町。西部を兵庫県と接する。2006年(平成18)、同郡岩滝町(いわたきちょう)、加悦町(かやちょう)、野田川町(のだがわちょう)が合併して成立。加悦谷(かやだに)とよばれる野田川流域の平野と、これを取り囲む大江(おおえ)山(832メートル)をはじめとする丹後(たんご)山地の山々からなり、北東は一部で宮津(みやづ)湾の内海である阿蘇海(あそのうみ)に面する。京都丹後鉄道宮豊線、国道176号、178号、312号などが通じる。自然・気候環境でみると、冬季には積雪も多い南部山間地と、阿蘇海に臨む北部平野に分かれる。1998年(平成10)にガラス製釧(くしろ)(腕輪。国指定重要文化財)などが発見された弥生時代後期の大風呂南墳墓群(おおぶろみなみふんぼぐん)、ともに国指定史跡である蛭子山(えびすやま)古墳、作山(つくりやま)古墳など遺跡も多い。蛭子山・作山両古墳は歴史公園として復原整備。江戸時代以来、機織業が盛んで、京丹後(きょうたんご)市とともに丹後縮緬(ちりめん)の主産地として知られた。2001年(平成13)岩屋(いわや)に老舗の織物工場跡を活用して丹後ちりめん歴史館が開館。加悦の中心街区には「ちりめん街道」の通称がある。近世から昭和初期に建てられた建造物が一体となって織物の町として栄えた特色ある景観をよく伝え、重要伝統的建造物群保存地区に選定される。江戸時代には阿蘇海に面し、野田川の河口港であった岩滝も廻船(かいせん)業、生糸縮緬商いで賑わった。1926年(大正15)に開業、1985年(昭和60)に廃止となった加悦鉄道は、その間、縮緬や大江山のニッケル鉱石の輸送に活躍(鉱石運搬は1945年に廃止)、加悦SL広場に修復された機関車、木造客車などを展示・保存。また旧加悦駅舎は移設して加悦鉄道資料館として利用している。板列八幡神社(いたなみはちまんじんじゃ)の木造女神坐像2体は国指定重要文化財。施薬寺(せやくじ)は与謝蕪村(よさぶそん)ゆかりの寺で蕪村の描いた屏風(びょうぶ)1双を蔵する。面積108.38平方キロメートル、人口2万0092(2020)。

[編集部]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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