世界国尽(読み)セカイクニヅクシ

関連語 岩波書店

精選版 日本国語大辞典 「世界国尽」の意味・読み・例文・類語

せかいくにづくし【世界国尽】

  1. 地誌。三冊。福沢諭吉著。明治二年(一八六九)刊。世界の地理的知識暗誦しやすいように七五調の文章で記したもの。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「世界国尽」の意味・わかりやすい解説

世界国尽
せかいくにづくし

世界各国の地理歴史をわかりやすく説いた福沢諭吉の名著。1869年(明治2)刊。五大州の地理を、江戸時代の旅案内をまねした口誦(こうしょう)しやすい七五調で説く本文と、各国の国情を説明する解説文と挿絵から成り立ち、鎖国を解かれたばかりの日本国民に世界の形勢を理解させようとする福沢の情熱産物児童にも理解できるよう配慮したもので、明治前期の小学校教科書としても使われたベストセラー

[広田昌希]

『『世界国尽』(『福沢諭吉選集 第2巻』所収・1981・岩波書店)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の世界国尽の言及

【詩】より

…もっとも,文明開化の新時代の詩を生み出す上では,これに先立つ1874年版,1876年版,1882年版などの賛美歌集や1881年に初編刊行の《小学唱歌集》などがその土壌をはぐくんでいたことを忘れてはならない。また福沢諭吉の《世界国尽》(1869)は,古来の和讃や歌謡のスタイルに通じる七五調の長詩形式によって,世界諸大陸の地理・歴史・文物に関する啓蒙を意図した作物で,明治2年(1869)という早い時期にベストセラーとなった。福沢自身は詩を書くつもりはまったくなかったが,七五調のおかげで,文字を解さぬ人々にも大いに愛誦された。…

【地理教育】より

…地形,気候などの自然条件と,そこに展開されている人間生活との関係を理解すること,さらに郷土や国土および諸外国についての学習が中心となる。
[歴史]
 明治初期の内外情勢の急激な変化に伴い,世界についての知識が渇望されるなかで,福沢諭吉の《西洋事情》《世界国尽》をはじめとする啓蒙書が広く読まれ,地理教育の一翼をになったが,学校における地理の授業も大きな役割を果たした。1872年(明治5)の〈学制〉成立によって地理教育は,小学校では〈地学読方〉〈地学輪講〉として行われ,翌年の改正小学教則で〈地理学読方〉〈地理学輪講〉に改められ,授業時数が若干減らされたものの,算術,習字などに次ぐ教科として位置づけられていた。…

※「世界国尽」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

ドクターイエロー

《〈和〉doctor+yellow》新幹線の区間を走行しながら線路状態などを点検する車両。監視カメラやレーザー式センサーを備え、時速250キロ以上で走行することができる。名称は、車体が黄色(イエロー)...

ドクターイエローの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android