世界金融危機(読み)せかいきんゆうきき

百科事典マイペディア 「世界金融危機」の意味・わかりやすい解説

世界金融危機【せかいきんゆうきき】

2007年米国のサブプライムローン問題に端を発する住宅バブルの崩壊から,2008年9月ニューヨーク証券取引所の史上最大の株価暴落で一気に顕在化して世界大に広がった金融危機を指す。米国の連邦準備制度(議長アラン・グリーンスパン)が主導した数年にわたる金融緩和政策による超低金利が,米国国内の土地バブル景気の要因としてあげられる。証券化された債権が高利回りの金融商品として米国をはじめ世界各国に販売されていたことで,米国はもちろん世界各国の金融機関に莫大な損失を発生させた。2008年9月の米国大手投資銀行・証券会社リーマンブラザーズ経営破綻をはじめ,AIG,メリル・リンチ,シティグループ,モルガン・スタンレーなどが次々と信用不安に陥り,米国政府は同年10月緊急経済安定化法を成立させて,巨額の公的資金を投入して不良資産の買い取りに乗り出した。欧州も深刻な金融危機に見舞われ,英,独,仏をはじめ各国とも一斉に公的資金投入による信用不安の食い止め策を講じた。この金融危機はアメリカ市場を最大のマーケットとして成長してきた自動車産業をはじめとする世界の製造業にも大きな打撃を与え,なかでも日本は,金融危機による損失は少なかったものの,輸出偏重の製造業が円高の影響も加わって極端な不振に陥り,急速に景気全体を悪化させた。2008年のGDPマイナスは戦後最大で,日本12.7%,欧州ユーロ圏5.7%,米国3.8%と,大恐慌以来の最大規模の世界同時不況の様相を呈した。各国とも失業率が増大し,保護主義の台頭も懸念された。さらにその影響は,2008年以降,ギリシアをはじめとするEU諸国の信用バブルの崩壊,ユーロ危機ソブリンリスク欧州債務問題の深刻化というEU経済の危機にも及んでいる。
→関連項目格付け会社雇用調整助成金財政の崖G20スウェーデンチェコニューヨーク株式取引所反格差社会運動ラガルドリーマンショック

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