雇用調整助成金(読み)こようちょうせいじょせいきん

ASCII.jpデジタル用語辞典の解説

雇用調整助成金

企業が事業活動を縮小せざるを得ない状況になり、社員の休業や教育訓練出向などの雇用調整を行なう場合、国が賃金や費用の一部を支給する制度。一定の条件を満たせば、給付金交付が受けられる。雇用調整には様々な方法があるが、希望退職や解雇など深刻な雇用調整を未然に防ぎ、雇用の継続を支援するのが狙い。旧労働省が1975年に創設し、従来は指定業種などが定められていたが、2001年の改正により、業種に関係なく利用できるようになった。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

雇用調整助成金

不景気などで事業縮小などに追い込まれた事業所で働く従業員の雇用・賃金を守るための制度。従業員を解雇せず、一時的に休業させたり、教育訓練を受けさせたりした場合などに国が休業手当や賃金などの一部を助成する。一時休業では1人あたり1日最大7890円が助成され、教育訓練を実施した場合はこれに同2千~4千円が加算される。中小企業向けでは、制度内容を拡充した「雇用安定助成金」になる。

(2012-04-25 朝日新聞 夕刊 1社会)

雇用調整助成金

景気変動の影響で事業規模が縮小した企業が、従業員を休業させたり、教育訓練をしたりするなどした際に給付される。直近3カ月の売上高などの月平均が前年同期比10%以上減ったことなどが要件財源は全国の事業主が納めている雇用保険料で、1981年に制度が始まった。 リーマン・ショック発生後の2008年12月~13年3月は、中小企業を対象に「中小企業緊急雇用安定助成金」が設けられたが、現在は雇用調整助成金に統合された。

(2017-01-26 朝日新聞 朝刊 2社会)

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デジタル大辞泉の解説

こようちょうせい‐じょせいきん〔コヨウテウセイ‐〕【雇用調整助成金】

労働者の失業予防を目的とし、国が事業主に対して行う支援措置の一。景気変動金融危機などの理由で収益が悪化し、事業の縮小を余儀なくされた事業主が従業員を一時的に休業・教育訓練・出向させる際に支払う休業手当や賃金の一部を国が助成する。雇調金
[補説]平成20年(2008)の世界的な金融危機で企業による解雇や雇い止めが急増。国は雇用悪化に歯止めをかけるため、雇用調整助成金の支給要件を大幅に緩和し、助成率を引き上げた。同年12月に新設された中小企業緊急雇用安定助成金では、助成率が5分の4に引き上げられ、翌年2月には大企業に対する助成率が2分の1から3分の2に引き上げられた。さらに同年6月には、所定の期間解雇等を行っていない企業に対する助成率が中小企業は10分の9、大企業は4分の3に引き上げられた。また、支給限度日数が3年間で150日から300日に延長され、1年間200日までとしていた制限が撤廃された。

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百科事典マイペディアの解説

雇用調整助成金【こようちょうせいじょせいきん】

雇用保険法に基づき,雇用保険上の要件や労働大臣の業種指定条件などを満たす企業が従業員に対して休業,教育訓練,出向を実施する場合に,雇用保険基金から賃金や費用の一部が支給される制度。景気変動により事業活動の縮小を余儀なくされた場合に,失業予防や雇用安定化を図ることを目的に,国が事業主に対し賃金や費用の一部を助成する。2000年以前は助成対象事業所に鉄鋼業などの特定雇用調整業種や特定不況業種と呼ばれた構造不況業種への助成金がかなりの割合を占めていたため,構造不況業種の温存策だとして批判された。2001年10月の制度改正によって,業種にかかわらず,事業活動の縮小を余儀なくされている事業主に助成金が支給されることになった。2002年度には,職場を限定し時間単位で従業員を休業させる緊急対応型ワークシェアリングに対しても助成金受給が可能となった。2008年以降の世界金融危機で急激に悪化した経済状況で企業による解雇・雇い止めが急増し,国は雇用悪化に歯止めをかけるため,雇用調整助成金の支給要件を大幅に緩和し助成率を引き上げた。2008年12月に新設された中小企業緊急雇用安定助成金では,助成率が5分の4に引き上げられ,翌年2月には大企業に対する助成率が2分の1から3分の2に引き上げられた。さらに同年6月には,所定の期間解雇等を行っていない企業に対する助成率が中小企業は10分の9,大企業は4分の3に引き上げられた。支給限度日数が3年間で150日から300日に延長され,1年間200日までとしていた制限が撤廃された。2012年末に成立した第二次安倍政権は,雇用調整助成金を景気の回復とあわせて縮小する方向を打ち出し,〈雇用の維持から失業なき労働移動の実現〉〈衰退産業から成長産業へ労働者をスムースに移動させる〉として,労働移動支援助成金を拡充するとした。2014年度政府予算では,従業員を転職させたい企業や,転職者を受け入れた企業に出すための金額を大幅に拡充。再就職支援会社の利用費や訓練費用を補助するとした。これとセットで不況時に雇用を守る企業に出す〈雇用調整助成金〉は半減させ,助成基準を厳しく見直す方針。安倍政権が成長戦略の一環として位置づける〈行き過ぎた雇用維持型〉から〈労働移動支援型〉への雇用政策の転換を促進する,としている。1990年代から2000年代を通じて実施されてきた雇用対策の大転換といえる。
→関連項目雇用調整

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人事労務用語辞典の解説

雇用調整助成金

減産や休業を余儀なくされた企業が雇用を維持するために従業員を休ませたり、教育訓練を受けさせたりする場合に、従業員に支払う休業手当や教育訓練費などの一部を国が助成するしくみを「雇用調整助成金制度」といいます。
(2009/2/16掲載)

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大辞林 第三版の解説

こようちょうせいじょせいきん【雇用調整助成金】

景気変動や産業構造の変化などにより事業縮小を余儀なくされたとき、一定の要件を満たした事業主に、失業の予防を目的として支給される補助金。雇調金。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

雇用調整助成金
こようちょうせいじょせいきん
subsidies for employment adjustmennt

不景気や経済情勢の変化により雇用情勢の悪化した業種で,労使間協定で労働者の休業,教育・訓練,出向を実施する際,賃金などの手当の一部を政府が事業主に助成する制度。業界団体の申請を受けて労働大臣が業種指定する。 1992年8月の総合経済対策で指定基準の緩和が決定され,制度の活用促進がはかられた。休業の場合は休業手当の2分の1 (中小企業では3分の2) ,教育・訓練では賃金の2分の1 (同3分の2) と訓練費の一部を支給する。 1994年2月から不況対策で休業手当を3分の2に引上げるなど率が暫定的に高められている。景気変動による解雇を避け,雇用を安定させることがねらい。業種としては,不況下の機械,ソフトウエアなどが多く,95年1月1日現在で 304業種が指定されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

雇用調整助成金
こようちょうせいじょせいきん

景気変動や産業構造の変化に伴い、事業活動の縮小を迫られた事業主が一時的な雇用調整をした場合に、従業員の賃金や休業手当の一部を国が助成する制度。雇用保険法に基づき、解雇や希望退職などを未然に防ぎ、雇用継続を支援するねらいがある。1975年(昭和50)、当時の労働省(現、厚生労働省)が雇用調整給付金として創設し、1981年に雇用調整助成金に変更した。事業主が従業員に対して、一時休業(一時帰休)させたり、関連会社などへ出向させたり、教育訓練を行った場合には、支払った賃金やかかった費用のうち、中小企業については3分の2、中小企業以外の企業に対しては2分の1を雇用保険から助成する。2015年(平成27)8月時点で一人1日当りの受給上限は7810円で、教育訓練には一人1日当り1200円が加算される。受給期間は、一時休業・教育訓練が1年間で最大100日分、3年間では最大150日分で、出向は最長1年間である。なお、かつては助成業種を指定していたが、2001年からすべての業種が対象となった。
 雇用調整助成金の申請は、都道府県労働局やハローワークに行う。受給するには、事業主が雇用保険に加入し、最近3か月間の月間平均の、(1)事業活動規模(売上高、生産量など)が前年同期比10%以上減少、(2)雇用量(雇用保険被保険者数と派遣労働者数)が前年同期比で、中小企業の場合で10%超かつ4人以上増えていない、それ以外の企業で5%超かつ6人以上増えていない、などの条件を満たす必要がある。一時休業は労使協定に基づき、従業員が一斉に1日1時間以上労働時間を短縮するなど全1日にわたって実施される必要があり、教育訓練は知識・技能・技術の習得や向上を目的とするもので、受講日に業務につくことはできない。出向した場合は3か月以上1年以内に元の事業所へ復帰する必要がある。雇用調整助成金を不正受給した場合、受給額の返還を求められ、事業所名の公表や、悪質な場合には詐欺罪での告発などの措置がとられる。[矢野 武]

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世界大百科事典内の雇用調整助成金の言及

【休業手当】より

…1973年秋のオイル・ショック以降大規模な雇用調整に関連して,指定業種に限り,雇主が負担する休業手当の一定部分を雇用保険会計から補塡(ほてん)する雇用調整給付金制度が74年に設けられたが,これに対しては一時帰休を促進するとの批判も多い。なお同制度は,81年に類似のものと整理統合され,雇用調整助成金になっている。【上井 喜彦】。…

【雇用調整】より

…これは,景気の変動など,個別企業の通常の努力によっては対応することが困難な理由により事業活動の縮小を余儀なくされた業種(労働大臣が指定)に属する企業に対して,一時帰休の実施に伴って支払った休業手当につき一定の給付金を支給するものであった。その後81年に,教育訓練,出向に関する給付金など類似のものと整理・統合され,雇用調整助成金となっている。【柳本 紀男】。…

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