財政の崖(読み)ザイセイノガケ

デジタル大辞泉 「財政の崖」の意味・読み・例文・類語

ざいせい‐の‐がけ【財政の崖】

米国で、大型減税措置の終了と法律に基づく歳出削減が重なることから、2013年1月以降、財政が急速に引き締められ、崖から転げ落ちるように、米国のみならず世界中の景気が悪化しかねないという懸念をいった語。
[補説]連邦準備制度理事会FRB)の議長バーナンキが用いて広まった。2012年末、この危機を回避するため、中間層の減税恒久化・富裕層に対する増税・予算管理法による歳出削減の延期などについて与野党が合意した。

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百科事典マイペディア 「財政の崖」の意味・わかりやすい解説

財政の崖【ざいせいのがけ】

経済・財政用語。英語はfiscal cliff。大型減税措置の期限切れと,国の債務に上限が設定されていることから国の予算が削減される事態が同時に起こることによって,〈実質的増税〉と〈強制的な歳出削減〉のダブルパンチに見舞われ,急激に緊縮政策に移行せざるをえなくなる状態を指す言葉である。米国FRBのバーナキンが用いて広まった言葉である。急激な緊縮政策は経済成長に急ブレーキをかけることとなり,深刻な景気後退,経済危機をもたらす可能性が高い。米国では2000年代に始まったいわゆるブッシュ減税という大型減税が2012年末に期限切れとなり,他方,2008年の世界金融危機などから国家債務の上限設定,債務削減の方針が打ち出されて,2011年に債務上限を上回った場合は,2013年1月から強制的に歳出カットする法案議会で可決された。再選2期目に入った直後のオバマ大統領の最初の最大の政治課題が,この財政の崖の危機をどのように回避するかにあった。共和党は財政支出の徹底的な削減を求め,民主党は富裕層への課税強化を主張しているため,財政の崖の回避は容易ではない。オバマ大統領と共和党の間で,〈実質増税〉を回避しつつ,歳出削減の延期・部分的実施という妥協が生まれた。14年にも同様に危機は回避されたが,抜本的解決にはほど遠く,世界経済に深刻な影響をもたらす可能性のある問題で常に注視されている。
→関連項目アメリカ合衆国

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