大学事典 「中世大学」の解説
中世大学
ちゅうせいだいがく
12世紀末から15世紀にかけて成立し,その原型が現代に至るまで継続している大学を指す。一般に学部のような専門分野ごとの組織,自治的団体による試験や学位による学業の認定,テキストの使用や講義・討論・演習といった教育方法などの,今日まで繫がる共通した教育の組織と機能を形成した。世俗の起源をもち法学の学生を中心に12世紀末から13世紀にかけて出現したボローニャ大学(イタリア)と,教会と密接な関係をもち神学の教師を中心に13世紀初期に出現したパリ大学(フランス)が,その2大母胎大学とされる。この2大学は自然発生型大学である。オックスフォード大学やモンペリエ大学,サレルノ大学なども同様に自然発生的に成立した大学である。ボローニャ大学からはパドヴァ大学などが,パリ大学からはオルレアン大学などが派生した。13世紀には普遍権力である神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世がナポリ大学(イタリア)を,教皇グレゴリウス9世がトゥールーズ大学(フランス)を創設し,中欧では1348年に皇帝カール4世がプラハ大学(チェコ)を設立した。イベリア半島では王権がサラマンカ大学(スペイン)(1218年,アルフォンソ9世)などを設立した。14世紀まではイタリアとフランスに,引き続きドイツ語圏でもウィーン,ハイデルベルク,ケルンなど多数の大学が創設された。
著者: 児玉善仁
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報