中坂稲荷社(読み)なかさかいなりしや

日本歴史地名大系 「中坂稲荷社」の解説

中坂稲荷社
なかさかいなりしや

中坂口を上り、山頂に至る道の中間辺りにある。外神社とともに城内鎮護の社とされる。起源は不明だが、上野忠親の「雪窓夜話」にはこの稲荷の主は桂蔵坊(「鳥府志」では慶蔵坊)という領内の狐の首領が祀られているとして、桂蔵坊にまつわる口碑を記している。これによれば、池田綱清の時代、中の丸の庭に母子の狐が出没し、隠居していた光仲に可愛がられて赤小豆飯など食物をあてがわれていた。だがある夜、庭の鴨が食殺され、狐の出入りする穴の前に鴨の羽毛があったことなどから母子狐の仕業と判明、怒った光仲は以後狐に構わないよう命じた。ところがその夜、松の丸の番人の娘に狐が憑き、国中の狐の首領として一社の神と祀られ城山に鎮座して武運長久を守護する中坂の桂蔵坊であると名乗り、昨夜狼藉を働いた他国の狐を処罰したと告げた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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