原子核AX に中性子nが入射して起こる中性子反応のうち,X + nの系がγ線を放出してエネルギーを失うため,中性子が出られなくなり,質量数が一つ増えたXの同位元素 A+1X ができる反応.たとえば,59Co(n,γ)60Co反応のように生成核 A+1X が放射性をもつことが多く,原子炉における放射性同位元素製造の重要な反応である.もっとも簡単な核,陽子に対する捕獲反応p(n,γ)2Hは,熱中性子に対し0.3 barn の断面積をもち,原子核物理のもっとも基本的な反応の一つであるとともに,原子炉のなかでは中性子束を減らす望ましくないはたらきをする.古典論では,ある粒子系から電磁波が放射されるには,粒子体系の振動運動がなければならなかったように,X + n系がγ線を放出するには,その系がかなりの寿命で持続されなければならず,複合核ができることがその条件をみたす.したがって,核共鳴の現象に伴った捕獲の場合,断面積が大きくなることが期待できる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…原子炉ではウラン235 235U,ウラン233 233U,プルトニウム239 239Puなどの核分裂性核種が使用される。これらは中性子を吸収すると単にγ線を放出するのみのこともあるが(これを中性子捕獲反応という),多くの場合,核分裂を起こす。核分裂によってできた二つの原子核を核分裂片(核分裂生成物)と呼ぶ。…
…他の核反応におけると同様に,大別して三つの反応過程を通して起こる。例えば中性子の放射性捕獲(単に中性子捕獲neutron captureともいう)A(n,γ)Bの場合,(1)入射中性子nが標的核Aのまわりの束縛軌道に入って残留核Bを形成すると同時にγ線を放出する直接捕獲,(2)nがAに捕獲されて比較的簡単な複合系をつくった後,その複合系がγ線を放出して最終状態になる半直接捕獲,(3)nがAと一体になって複合核を形成し,その複合核がγ線を放出して最終状態になる複合核捕獲の三つである。第3の過程では,入射中性子のエネルギーが複合核状態のエネルギーにほぼ等しいときだけ複合核がつくられ,大きな確率で中性子捕獲が起こる。…
※「中性子捕獲」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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