日本大百科全書(ニッポニカ) 「中津渓谷」の意味・わかりやすい解説
中津渓谷(神奈川県)
なかつけいこく
神奈川県愛甲(あいこう)郡愛川町から同清川村にわたる中津川上流の渓谷。半原(はんばら)―宮ヶ瀬(みやがせ)にわたる約3キロメートルの間が中心地区。地形上は仏果(ぶっか)山地を東西に横切る先行性流路で、きれいで豊富な水流(滝・急流)と岩壁・奇岩、それに春夏のさわやかな緑と秋の紅葉とがあわさって渓谷美をなす。中心の石小屋は、川床に重なって横たわる3個のカエル型(直径3メートル余)の石のさまが小屋に似ているので名づけられたといわれる。そのすぐ上流の砂防ダムにかかる玉すだれの滝は、ダムからあふれる横に広い流れが、日の光を浴びて簾(すだれ)状になるのでその名がある。半原に野外教育センター「愛川ふれあいの村」が設けられ、自然観察とレクリエーションを主とする学童たちでにぎわう。石小屋から上流は、宮ヶ瀬ダム(2000年完成)のため水没した。小田急電鉄小田原(おだわら)線本厚木駅からバスで50分で、渓谷入口の半原へ達せられる。
[浅香幸雄]