改訂新版 世界大百科事典 「中間利息」の意味・わかりやすい解説
中間利息 (ちゅうかんりそく)
破産宣告があると債務者は期限の利益を失うから(破産法17条),債権者は,破産宣告後に期限の到来する(その意味で将来の)債権でも,破産債権として行使できる。この場合の債権額は,期限が到来したときの価額ではなく,現在の価額である。たとえば,10年後に100万円支払うという債権の現在の価額は,100万円ではなく,そこからこの10年間の中間利益を控除した額である。このように,将来の一定の給付を目的とする債権の現在の時点での価額を算定するために,その給付額から控除される中間の利益を中間利息と呼ぶ。同じく〈利息〉といっても預貯金の利息や貸付金に対する利息のように,元本の法定果実(〈果実〉の項参照)とされる本来の〈利息〉とは異なる。中間利息の控除が必要になるのは,先の破産の場合のほかには,将来こうむる損害の賠償を現在の時点で請求する場合がある。中間利息を控除する方法としては,カルプツォウ(方)式,ホフマン(方)式,ライプニッツ(方)式などが知られている。かつて破産法は期限未到来の破産債権の現在額の算定について,〈破産宣告ノ時ヨリ期限ニ至ル迄ノ破産債権ニ対スル法定利息ヲ債権額ヨリ控除スル〉としてホフマン式を採用していたが,1952年に削除された。現在は,破産法以外にも明文の規定はなく解釈にゆだねられている。判例・学説は,ホフマン式(単式,複式)ないしライプニッツ式を採用している。
→損害賠償 →ホフマン方式
執筆者:西澤 宗英
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報