商品の価値は人々が主観的に判断する効用によって決まるとする説。C・メンガーに始まるオーストリア学派によって提唱された。人々にとって有用性が高い(一定量の消費から得られる総効用が大きい)水は、その価値(交換価値)がそれほど高くなく、逆に有用性が高くない(消費から得られる総効用が大きくない)ダイヤモンドの交換価値は高いというアダム・スミスが示唆した例からもわかるように、商品の価値を決めるものは総効用の大きさではない。そこで主観価値説では、交換価値(価格)と関係があるのは限界効用(消費量を増加していくときの追加1単位の効用の増し分)であると考える。一定の所得で数種類の商品を購入する場合、人々が最大の欲望満足を求めて行動する限り、各商品の購入量は、それぞれの商品の1円当りの限界効用が等しくなるように決定される(限界効用均等の法則)。それは、各商品の限界効用をそれぞれの価格で割ったものが等しくなること、すなわち、各商品の限界効用の比が価格の比に等しくなることを意味する。一般に商品の消費量が増加すると限界効用は逓減(ていげん)する傾向があるから、人々は、価格が高い商品についてはそれに比例して限界効用が高くなるように少量しか購入しようとしない。逆にいえば、わずかしか入手できない限界効用の高い商品に対しては、高い価格を支払おうとするであろう。人々の欲望に比して希少な商品は限界効用が高く、それゆえ価格は高くなるというのである。
[志田 明]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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