日本大百科全書(ニッポニカ) 「久留間鮫造」の意味・わかりやすい解説
久留間鮫造
くるまさめぞう
(1893―1982)
わが国の代表的マルクス経済学者。岡山市に生まれ、1918年(大正7)東京帝国大学法科大学を卒業。翌19年、大原社会問題研究所創立とともに同研究所に入所し、20年には櫛田民蔵(くしだたみぞう)と同道して欧米に渡り、研究所の図書収集にあたった。第二次世界大戦後は、46年(昭和21)から64年まで法政大学経済学部教授として経済学史、貨幣論を講じるとともに、49年に法政大学に移管された大原社会問題研究所の所長を66年まで務めた。貨幣論、恐慌論に示された精密な研究内容は、わが国のマルクス経済学の研究水準を国際的なレベルにまで引き上げるのに貢献した。代表的な著作に『恐慌論研究』(1948)、『価値形態論と交換過程論』(1957)、編書に『マルクス経済学レキシコン』(1968~85。第4回野呂(のろ)栄太郎賞受賞)などがある。
[新田俊三]
『『価値形態論と交換過程論』(1957・岩波書店)』▽『『恐慌論研究 増補新版』(1987・大月書店)』▽『『マルクス経済学レキシコン 普及版』全8巻・別冊1(1995・大月書店)』