経済学史(読み)けいざいがくし(英語表記)history of economics

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「経済学史」の意味・わかりやすい解説

経済学史
けいざいがくし
history of economics

経済学歴史,すなわちその理論思想の発展過程を研究する学問。経済問題についての断片的思想や時事的な政策論は古代から存在するが,学問としての形成は西欧の近代国家形成期 (おおむね 16世紀中頃~18世紀中頃) に出現した重商主義からである。自然法的な経済秩序の存在を明らかにしたのは F.ケネー経済表であり,彼は経済学の創始者であるともいわれている。また重商主義政策がとられた前提には,経済生活に対する認識と評価があった。この発達は中央集権的な国家の成立と結びつき,やがては経済の全体的秩序の認識の必要性を高めた。このような背景のもとに経済学は 18世紀に A.スミスにより初めて体系的な学問として成立した。スミス以降,D.リカード,T.マルサス,J.S.ミルらにより展開された経済学を古典学派と呼ぶ。 1870年代には C.メンガー,W.ジェボンズ,L.ワルラスらにより限界効用学派が確立され,近代経済学が成立した。これは 1930年代のケインズ革命を経て国民所得分析を発達させ,経済計画,景気予測など実際的な政策面にも役立っている。一方 K.マルクスは同じくスミス以降のイギリス古典派経済学の成果をふまえて独自の経済学 (→マルクス経済学 ) を確立した。その『資本論』は社会主義経済体制の理論的典拠ともなった。なお,経済学の理論史的アプローチの一つとして J.シュンペーターの『経済分析の歴史』 (1954) が著名

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世界大百科事典(旧版)内の経済学史の言及

【経済学説史】より


【経済学説史研究の意義】
 経済学の歴史を研究する必要性を考える場合,まず経済学もその一分野である実証科学はどのように発展していくものかを考える必要がある。教科書的な説明をすれば次のようになろう。たびたびおこる,あるいはいくつもおこる事象を説明するために,われわれは最も重要であると考える要因だけを考慮に入れて,つまり何が重要であるかについての仮定を立てたうえで,現実を簡単化した理論モデルをつくる。ミクロ経済学の例をとると,消費者の効用,所得,いろいろな財の価格,消費者のいろいろな財の需要量などの間に成立するいくつかの方程式の体系は,消費者の行動を説明するための理論モデルである。…

※「経済学史」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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