乾物屋(読み)かんぶつや

改訂新版 世界大百科事典 「乾物屋」の意味・わかりやすい解説

乾物屋 (かんぶつや)

乾物類を販売する小売商人,およびその店。一般に乾物といえば植物性食品を乾燥させて保存性を高めたものをさし,魚類の乾燥品である干物と区別するが,こうした乾燥食品全般を扱う乾物屋が成立したのは近代に入ってからである。商品の仕入先は,近世中期では塩問屋干魚問屋,鰹節問屋,雑穀問屋があり,後期にはそうめん問屋ができ,さらにそれ以外の乾物を扱う乾物問屋があらわれた。乾物屋も最初は商品別に成立したようである。江戸では店売りだけであったが,上方では店売りのほかに乾物売と呼ぶ担い売りの商人も生まれた。シイタケキクラゲ,かんぴょう,ダイズ,アズキヒジキゼンマイ,刻みアラメコンブ,かずのこ,田作り,干ダラニシンソラマメなどを,乾物と記した箱につめて売り歩いた。近代からは缶詰,油類,調味料なども扱うようになり,現代では,より総合的な食料品店化しつつある。また,地域によっては行商も行われている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「乾物屋」の意味・わかりやすい解説

乾物屋
かんぶつや

乾物を販売する商人。乾物は植物性食料を保存のために乾燥させたものであるが、魚類を乾燥させた干物(ひもの)も含むようになった。18世紀の近世中期では、塩・干魚(ひうお)・かつお節・雑穀などを問屋から仕入れ、19世紀の近世後期には、それ以外の乾物をも、乾物問屋から仕入れた。江戸では店(みせ)売りだけであったが、上方(かみがた)では店売りのほかに乾物売りという担(にな)い売りの商人も生まれた。近代になってからは缶詰・油類・調味料も扱うようになり、現代では一般の食料品店化している。

遠藤元男

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