事審官(読み)じしんかん

改訂新版 世界大百科事典 「事審官」の意味・わかりやすい解説

事審官 (じしんかん)

朝鮮で高麗時代に地方豪族の力を抑えるために設けた官職。高麗王朝の成立後,地方豪族は郷吏胥吏(しより))になって力を温存した。それを抑えるために,郷吏の子弟其人と名付けて上京させ,また中央官僚に出身地の事審官を兼任させ,出身地の郷吏の推薦監督に当たらせた。高麗後期には事審官が郷吏を使って土地農民支配し大きな弊害を起こしたので,1318年に廃止したが,やがて復活し高麗末まで存続した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「事審官」の意味・わかりやすい解説

事審官
じしんかん
sasimgwan

朝鮮,高麗時代の地方官で,郷吏を統括する官職。太祖 18 (935) 年降伏した新羅敬順王を慶州の事審官とし,副戸長以下の郷職を支配,監督させたのに始る。その後諸功臣を出身地の州の事審官に任じ,地方を鎮定させた。中央集権制度が整備されると,事審官も統制を受け,文宗 11 (1057) 年事審主掌使が任命されて王朝が地方を直接統制するようになった。忠烈王9 (1283) 年,廃止令が出されたが,権力ある豪族はみずから事審官になって地方民を収奪した。忠肅王5 (1318) 年再び廃止令が出され,事審官がもっていた土地と奴婢は没収された。しかしこれら事審官の封建領主的な勢力は高麗滅亡まで続いた。

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