二重国籍(読み)ニジュウコクセキ

デジタル大辞泉 「二重国籍」の意味・読み・例文・類語

にじゅう‐こくせき〔ニヂユウ‐〕【二重国籍】

個人が同時に二つ以上の国籍をもつこと。重国籍

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共同通信ニュース用語解説 「二重国籍」の解説

二重国籍

日本国籍法では、どちらかが日本人の夫婦の間に生まれた子は日本国籍となるが、海外で生まれた子は、その国が出生国を国籍とする「出生地主義」だった場合などは、生まれながらの二重国籍者となる。日本法ではこの際、出生から3カ月以内に「国籍留保」の届け出をしなければ出生時にさかのぼって日本国籍が失われる。さらに20歳になるまでに二重国籍となった場合、22歳までにどちらかの国籍を選ばなければならない。一方、米国ロシア、英国などは法律で二重国籍を認めている。

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精選版 日本国語大辞典 「二重国籍」の意味・読み・例文・類語

にじゅう‐こくせきニヂュウ‥【二重国籍】

  1. 〘 名詞 〙 個人が同時に二つ以上の国籍をもつこと。重国籍。

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知恵蔵 「二重国籍」の解説

二重国籍

複数の国籍を同時に保持することを多重国籍または重国籍といい、このうち二つの国家において重複して国籍を持つことを二重国籍という。多重国籍の取り扱いは国によって異なり、日本の国籍法では、国民の国籍は単一であることを原則としている。
自然人に限らず、船舶その他や法人である企業にも国籍はあり、それぞれ税制等との関連もあり、国際法や各国の国内法に定められている。特に人の国籍については個人が特定の国家の構成員である資格と定義され、国と個人を結び付ける法律上のきずなとされる。国籍は国民たる要件となるため、国籍を持つことにより当該国での法の下での権利を享有し義務を負担する基準ともなる。それゆえ、どのような要件によって国籍を与えるかは各国の主権の問題となる。国籍取得の要件には大きく二つの流れがあり、一つは父または母の国籍に基づく日本や中国のような血統主義、もう一つは親の国籍によらず当該国で生まれた子どもに国籍を与える米国や多くの南米諸国のような出生地主義である。このようなことから、帰化などによらずとも生まれながらにして多重国籍となる場合がある。多重国籍の場合は、兵役や外交保護権などで、いずれの国が優先するかなどの相克が起こる可能性が排除できない。このため、国際法では無国籍と共に多重国籍もなくすことを目指す「国籍唯一の原則」が古くから認められている。ただし、同時に本人自身の意思による国籍の変更、離脱を認める「国籍自由の原則」も掲げられている。このため、移民者を中心に近代国家を築いてきた南北アメリカや、かつて広く植民地を抱えていた欧州主要国などは、現実的な法制として国民の多重国籍を容認する国が多く、アジア圏では部分的に容認する国や多重国籍を認めない国が多い。なお、国連の調査では、加盟国のうち約半数の国が制限なく多重国籍を認めている。条件付きで認める国も合わせると約7割の国が認めており、グローバル化の中で認める国が増加の傾向にあるという。
日本の国籍法では、外国の国籍を有する日本国民は22歳に達するまで(20歳に達した後であるときはその時から2年以内)に、いずれかの国籍を選択することを求めている。日本国籍を選択する旨の宣言をした場合は、外国の国籍の離脱に努めなければならないとしており、逆に外国の国籍を取得すると日本国籍を失う。ただし、外国籍離脱は努力義務に過ぎず、外交官などを除けば外国籍を併せ持つことに特別な制限はない。また、外国の国籍を離脱するに当たっては、当該国の法に従って手続きを行う必要があり、国籍の放棄が認められていない国もある。政府は戸籍の情報などから、国籍の選択を予定する人の数を約89万人としているが、22歳などの期限に達しない者以外に、手続きの遅れや意図せずあるいは成り行きから多重国籍になっている者などもある。

(金谷俊秀 ライター/2019年)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「二重国籍」の意味・わかりやすい解説

二重国籍
にじゅうこくせき
dual nationality

二つの国の国籍を有すること。三重国籍以上の場合を含めて、「重国籍」ともいう。国籍法は各国の国内管轄事項とされ、血統主義と(出)生地主義に分かれているため、たとえば、血統主義をとる日本人の子が生地主義をとるアメリカ合衆国で出生すると、その子は出生により日本国籍とアメリカ国籍を取得して二重国籍者となる。また、日本や韓国など血統主義をとる国でも、かつては父系優先血統主義が採用されていたので、父の国籍だけが子に与えられたが、現在では男女平等の見地から日本を含めて父母両系血統主義を採用する国が増えているため、たとえば、韓国人父と日本人母の間の子は出生により韓国国籍と日本国籍を有する二重国籍者となる。さらに、多くの国では家族国籍独立の原則から婚姻などの身分行為により国籍は付与されないが、たとえばイスラム教国では自国民と婚姻した外国人妻には国籍を付与するため、そのような国の国籍を有する夫と婚姻した日本人妻は、婚姻により二重国籍者となる。

 二重国籍は国家への忠誠という観点から問題があるとされ、その発生防止のため、1930年の「国籍の抵触についてのある種の問題に関する条約」などで規律が試みられてきた。そして、日本の国籍法としては、1984年(昭和59)の改正による父母両系血統主義の採用を機に、国籍選択制度を導入し、重国籍となった時点が18歳以前の場合は20歳に達するまでに、重国籍となった時点が18歳に達した後である場合はその時点から2年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならないとされている。詳しくは「国籍」の項参照。

[道垣内正人 2022年4月19日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「二重国籍」の意味・わかりやすい解説

二重国籍
にじゅうこくせき

国籍」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の二重国籍の言及

【国籍】より

…国籍唯一の原則とは,理想として人は必ず一つの国籍をもち,かつ唯一の国籍をもつべきであるということである。国籍の得喪に関する各国の原則が異なる結果,一人で複数の国籍をもつ場合(重国籍,ほとんどの場合二重国籍)またはいずれの国籍をももたない場合(無国籍)が生ずる。しかしこのような国籍の抵触は不都合な結果をもたらすので,できるだけこれを避けるべきであると従来考えられている。…

※「二重国籍」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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