日本の国籍法では、どちらかが日本人の夫婦の間に生まれた子は日本国籍となるが、海外で生まれた子は、その国が出生国を国籍とする「出生地主義」だった場合などは、生まれながらの二重国籍者となる。日本法ではこの際、出生から3カ月以内に「国籍留保」の届け出をしなければ出生時にさかのぼって日本国籍が失われる。さらに20歳になるまでに二重国籍となった場合、22歳までにどちらかの国籍を選ばなければならない。一方、米国やロシア、英国などは法律で二重国籍を認めている。
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(金谷俊秀 ライター/2019年)
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二つの国の国籍を有すること。三重国籍以上の場合を含めて、「重国籍」ともいう。国籍法は各国の国内管轄事項とされ、血統主義と(出)生地主義に分かれているため、たとえば、血統主義をとる日本人の子が生地主義をとるアメリカ合衆国で出生すると、その子は出生により日本国籍とアメリカ国籍を取得して二重国籍者となる。また、日本や韓国など血統主義をとる国でも、かつては父系優先血統主義が採用されていたので、父の国籍だけが子に与えられたが、現在では男女平等の見地から日本を含めて父母両系血統主義を採用する国が増えているため、たとえば、韓国人父と日本人母の間の子は出生により韓国国籍と日本国籍を有する二重国籍者となる。さらに、多くの国では家族国籍独立の原則から婚姻などの身分行為により国籍は付与されないが、たとえばイスラム教国では自国民と婚姻した外国人妻には国籍を付与するため、そのような国の国籍を有する夫と婚姻した日本人妻は、婚姻により二重国籍者となる。
二重国籍は国家への忠誠という観点から問題があるとされ、その発生防止のため、1930年の「国籍の抵触についてのある種の問題に関する条約」などで規律が試みられてきた。そして、日本の国籍法としては、1984年(昭和59)の改正による父母両系血統主義の採用を機に、国籍選択制度を導入し、重国籍となった時点が18歳以前の場合は20歳に達するまでに、重国籍となった時点が18歳に達した後である場合はその時点から2年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならないとされている。詳しくは「国籍」の項参照。
[道垣内正人 2022年4月19日]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…国籍唯一の原則とは,理想として人は必ず一つの国籍をもち,かつ唯一の国籍をもつべきであるということである。国籍の得喪に関する各国の原則が異なる結果,一人で複数の国籍をもつ場合(重国籍,ほとんどの場合二重国籍)またはいずれの国籍をももたない場合(無国籍)が生ずる。しかしこのような国籍の抵触は不都合な結果をもたらすので,できるだけこれを避けるべきであると従来考えられている。…
※「二重国籍」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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